2008年08月29日

ウナギ産地偽装・今度は愛媛



また、ウナギの産地偽装が発覚しました。

概要は、愛媛の「サンライズフーズ」が産地不明の蒲焼に「愛媛県産」と表示して販売したこと。

さらに、「国産」と表示した蒲焼も農水省は、中国産蒲焼を社内で詰め替えた可能性が高いと見て調べているとのこと。

「サンライズフーズ」の蒲焼の多くは、築地市場最大手の「中央魚類」に出荷され、スーパーなどで販売されていました。

読売新聞によると、
「サンライズフーズ」から仕入れた蒲焼の量は、「中央魚類」が扱う蒲焼の7割を占め、昨年度の築地市場で扱われた全蒲焼(3320トン)の約2割(約645トン)に相当する量だったとのこと。

以下、読売新聞よりそのまま引用

サンライズ社の工場に勤める従業員は読売新聞の取材に、「生きたウナギはほとんど見ない。蒲焼が乗ったトレイの包装をはがし、別のトレイに乗せてラッピングし直している」と証言。取引業者も「サンライズ社の工場でみるのは”中国産”と書かれた段ボール箱ばかり」と話す。

====引用終わり

僕から言わせると、「ようやく本丸にたどりついたか」といったところ。

もうすでに5〜6年ほど前から、怪しいということは業界の常識でした。


なぜなら、常にありえないような安い値段で製品が出続けていたから。
さらに、出荷量に見合うほどの大量の活鰻が購入されている形跡がないこと、実際に活鰻をさばいて生産している形跡にとぼしいことなど、あらゆる条件が偽装を裏付けていました。

ちなみに、5〜6年前には福建省のうなぎ工場の蒲焼製品が数百トン単位で、松山揚げされていました。
通常は関西の場合、消費地である大阪に荷揚げされるものなので、これは極めてイレギュラー。
その荷物がどこに行ったかも調べる必要があります。

その中国の工場の社長は”特需”にのっかりご満悦でした!


「サンライズフーズ」には4年ほど前には行政検査が入ったのですが、その時は何も出ずじまい。
このとき、行政の業者との癒着や「ナーナー検査」を疑ったものです。

そのような経緯を考えると、よくこれだけ長年、放置されていたものだと思います。
もう昔の証拠などは残っていないでしょう。


そして主要取扱い業者の中央魚類。
築地最大手で東証2部上場企業。

業界の誰が見ても、誰が判断しても、偽装の疑いが濃厚だった製品
を販売し続け、大量に扱い、多額の利益を上げていた。(に違いありません)

それを「知らなかった」「だまされた」で通すのは無理があります。

もしかすると、「知っていた」とする物的証拠は出ないかもしれませんが、それで逃げおおせてヤリドクを許すようであれば、永遠に食品偽装に歯止めなどかけられないでしょう。

昨年から食品偽装が社会問題化し、ウナギの偽装も次々と摘発を受ける中、今の今まで公然と販売していた中央魚類の罪は非常に重く、サンライズフースに匹敵します。

さらに、明らかに安い、怪しい”国産”を仕入販売していたスーパーも大問題
表面とは裏腹に、儲かるものなら何でもやる、責任さえ回避できればOKといった体質を表しています。
ここ数年「安い国産ない?」が合言葉のようでした。

特に国産のメインをこの製品でまわしていたスーパーは大きな責任を免れません。


そして消費者。
中国産を避け、「国産」の中から最も安いものを選んで買った人も多いことでしょう。
この手のものがよく売れるんです!
国産の中では安いといっても中国産の2倍ぐらいはしていました。

それがかなりの高い確率で、原料が中国産、もしくは中国産蒲焼の詰め替えであることがはっきりしてきました。

怒るべきことなのは当然です。

”安いだけの中国産”に「騙されまい」と気を配って買った結果、高い値段を払って中国産を食べていたことになるわけですから。


ウナギの産地偽装は非常に裾野が広いため、なかなかこれで終わり、ということにはなりません。
「魚秀」の問題も未だに関係会社(被害者を含め)を事細かに捜査中。


「迅速に」そして「モレなく」調べ、腐りきった業界のウミを早く出してもらいたいものです。



posted by うな太郎 at 21:49| Comment(1) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月18日

イオンが漁協と直接取引



スーパーのイオンが島根県の「漁業協同組合JFしまね」と直接取引を開始しました。

16日にイオン専用の定置網で水揚げされた約2.7トンが販売され、17日に大阪、京都、愛知などの約60店舗で販売されたという。

メディアはあたかもいいことずくめのような論調で取り扱っているが、これは大きな誤解です。

そもそも、生産者から末端の販売者(スーパー)の直接取り引きに大きなメリットがあるなら、とうの昔にやっています。

今まであまりやっていなかったのは、デメリットのほうが大きかったから。

最も大きな問題は、
生産者の売りたい条件とスーパーの買いたい条件が見合わないこと。

スーパーは、大きさなどの規格があうものには相応の値段を払うが、そうでないものは二束三文の値段しか払わない。

今回、その問題が解決されているとは思えない。



そして大きな誤解は、多くの人が中間マージンが発生するのはムダだと思っていること。

生産者とスーパーの間に入っている中間業者はいわば交通整理の役目を担っている。
つまり、ある業者には価値が低くても、ある業者は高くても買いたいという場合があるわけで、多くの品種、多くのサイズを、最適なお客さんに販売する業務を行っている。
その中には配送業務も含まれる。

さらに重要な役割は、品質、価格、マーケット、販売アイデアなどの情報

それぞれの商品の専門知識の中には、生産者が知らないこともあれば、知っていてもきめ細かな情報提供までできない場合がほとんどだ。

つまり、中間業者というのは、そういった一定の「役割」を担っているから、その報酬としてマージンが発生している

逆に言うと、「役割」を果たさない中間業者は「不要」ということで淘汰される。


日本の水産業界は外国とは大きく異なっています。

全国各地から多種多様の水産物の供給があり、それを全国各地の多様な消費形態の中で販売されていく。

末端業者すべてが生産者と直取引などできるはずがない。

両者ともノーサンキューだ。

それに対応するために、全国に魚市場が設けられ、それでも対応できない部分を問屋が行っている。


もちろん、流通の中で、魚市場や問屋を介さないものが増えてきているのは事実だが、中間マージンが発生するのが悪のように語られるのは現実を知らなすぎる。


そしてもう一つの誤解は、
「中間業者を廃せば、生産者の受取が多くなる」
ということ。

これがウソである理由は二つある。

1)交通整理をしている中間業者を廃したら販売する客は最適な客ではなくなる・・・・客は「欲しいもの」以外は二束三文か、ただでしか引き取らない。

2)客はますます立場が強くなり、生産者はますます立場が弱くなる

特に2)は重要だ。
スーパーはぎりぎりまで利益を上げようとする。
私企業として当然のことだ。
中間業者がいない分の「5〜10%の半分は生産者に払おう」などとはしない。
すべて取りに行く。

いや、それ以上ということも十分あり得る。


「生産者のため」と本当にボランティア的なことをしたら、株主が黙っていないし、一歩間違えば「背任」という犯罪行為になる。

だいたい、値段はすべて毎回決めるものなので、中間マージンの節約分がいくらかなど計るすべもない。

ちなみに大手スーパーの想定原価率は通常55%、粗利益率45%だ。
つまりスーパーの売値が100円ならば、仕入は55円以下が基本で、ほとんどの場合、売値から仕入れられる価格を割り出してくる。


話を元に戻します。

今回のイオンの取引が始まった背景には、ますます流通の寡占化が進んでいることがあげられます。

流通の中で、もはやスーパーは絶対的な力を持ち、特にイオンの存在は絶大。

その中で、価格決定はイオン主導になることは間違いのないこと。

「売れにくい魚」に対して、どのような評価、どのような値段を付けてくるかによって、この取引の成否が左右されることでしょうが、少なくとも生産者が期待するような取引になるとは思えません。

品質や表示に対する生産者への要求も、より厳格になることでしょう。


一方イオンにとっては、
「漁業者の苦境」「資源の無駄使い」などが多く取り上げられる中、今回の取引の宣伝効果が高く、イメージアップにつながり、良い結果を生んでいると思います。


また、消費者にとって唯一良いことは、普段見掛けない魚種が店頭に並ぶこと。
「知ってる魚」「見たことがある魚」しか食べなくなった日本人にとって、知らない魚でもおいしいものがたくさんあることを知ることになり食育にも良いことでしょう。

より鮮度が良いとか、ムダがなくなる、ということはあまり関係ないでしょう。


ただ繰り返しになりますが、憂慮すべきは、ますます進む流通の寡占化、そして、そのような食の現実を伝えないメディアです。


posted by うな太郎 at 11:02| Comment(1) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月12日

「消費者がやかましい」



太田誠一農林水産大臣が、NHK番組で、食の安全に関し、
「日本国内では心配しなくていいと思っているが、
消費者がやかましい
から徹底してやっていく」と発言して、批判を浴びた。

「やかましい」という言葉は、相手を批判的に捉えているからでてくるわけで、「理不尽」というニュアンスが含まれる。

消費者全般の考え方を批判するのであれば、組織の長として、しっかりとした説明責任があるわけで、それもなしにただ
”うるさいから言われた通りにする”というような発言になるのは、現在の
「名前だけ大臣」
を象徴するような発言だ。

太田大臣の弁明としては
「日本は消費者が正当な権利を主張できる民主主義の国、という趣旨だった」としているが、

「やかましい」と「正当な権利を主張」では全く逆
の意味だから、
全く弁明になっていない。

多分、普段から思っていることがつい口をついて出てしまったのだろう。
批判されても仕方ないだろう。


ただし、一方で、
「消費者がやかましい」というのは、食品を扱っているほとんどの業者が思っていることも事実。


日本の消費者は世界一わがまま。

形、色、にこだわり、味はもちろん、産地、ブランドに目を光らせる。
十分に食べれる物でも、賞味期限が切れたり迫ったりしたものは食べない。
無農薬、無添加を望み、遺伝子組換えは無条件でノー!中国産は絶対反対、輸入品もイヤ。
食に関わるありとあらゆる条件を要求しておりて、相応のお金も出さない。

日本は物質的に満たされすぎているがために、それがどれだけ恵まれていて素晴らしいことかが、見えなくなっている。


食の安全に関しても全く同じことがいえる。

日本ほど、そして今の時代ほど安全な食費に満ち溢れていることは、どの世界にもどの時代にもない。


そんな環境にいながら、食に怯え、食に不満を持つ。
まさに、不満と不幸の際限のない連鎖だ。

100%の安全など、求めようがない不可能なことなのに、「100%でないといけない」と思っている。


日本の消費者がこうなった一つの原因が、サービス提供者が消費者を神様扱いしたことにある。

だから、消費者に対して、どんな理不尽なことにも反論が許されない社会になってしまった。

「和民」の社長はこう断言しました。
「お客様と店員で注文に食い違いが出た時、常にお客様が100%正しい。仮に録音を取っていて、店員の言うとおりだったとしても。」

消費者がいくらモンスター化しても、利益がでているうちは良い。
それによって「食べさせてもらっている」と考えることができる。

しかし、実はもう限界まで来ている。


「食べさせてもらえる」なら神様扱いでも良いが、損するならその限りではない。

また、現在の水準より要求を高めると、意味のないことにコストを費やし、値段に跳ね返る。
或いは、行政コストとなって税金が無駄に使われる。
要求する消費者にとっても、社会全体にとってもマイナスになる。

消費者が知らなくてはならないのは、このような食品の現実だ。


それを説明しなくてはならないのが、政治家、役人、食品の専門家、そしてメディアだ。

ただ、太田大臣に象徴されるように、心の中では文句を言いたくても、誰も消費者にとって耳の痛いことを言いたがらない。

誰もが条件反射的に消費者の味方を気取る。


消費者のわがままが通り、規制が増え、食品業者の首を絞めるような行政を行って喜ぶのは利権が増える役人だけ。

消費者の目先の微々たる快楽のために社会は疲弊する。

日中間の最重要課題を「ギョーザ事件解決」などとすれば、中国は喜ぶだけ。
パンダの貸与と同じく、中国にとってどうでも良い問題に日本国民の関心が向かう裏で、経済面や領土、人権問題など重大な国益を得ればよいのだから。


情報の発信者は「そんなことでいいんですか?」と言わなくてはいけない。


もちろん僕はやります。






posted by うな太郎 at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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