2008年09月27日

朝日新聞のメラミン記事



本日(9月27日)の朝日新聞朝刊の記事には、うれしい驚きがありました。

丸大食品の回収された菓子の中から、メラミンが検出された記事。

一面トップで、「回収食品からメラミン」と大見出しで出た後、
本文の最初の文章が以下。
「検出濃度は0.8〜37PPMと微量で、健康への影響は考えにくいという」

今までこのような冷静な文章は、書かれてあったとしても、長文の一番最後に来る程度でした。

危険を煽るばかりの報道ばかりの中、今回の報道姿勢は画期的
と言っていいと思います。

さらに、38面の詳細な記事の中では、以下の文章。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜抜粋します。

欧州食品安全機関の暫定基準値によると、体重50キロの人は1日に
メラミン25ミリグラムを、体重5キロの子供なら2.5ミリグラムを摂取したとしても健康に影響は出ないという。
今回の検出濃度をもとに計算すると、市販の菓子「クリームパンダ」1個には、最大で1.5ミリグラムのメラミンが入っていたことになる。
体重50キロの人なら1日に約17個、体重20キロの子供なら、約7個食べても、問題のない計算になる。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここまで

さらに学者の冷静な対応を呼びかける内容が続いた。

まさしく、僕が前回の記事で指摘した、
科学的な計算によるリスク評価
を完璧にしてくれました。


僕が拙著「食品の迷信」の中で訴え、その後も再三にわたって苦言を呈してきた一方的報道姿勢が、大きく変わった瞬間に出くわしたような、そんな気がします。


今後は消費者自身が賢くなって、大袈裟に感情的に危険を煽る記事や本は売れなくなり、
冷静な科学的根拠に基づいた現実的な記事や本が売れるようになって欲しい
と思います。













posted by うな太郎 at 14:37| 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月23日

三笠フーズの事故米・続編



事故米(汚染米)の転売問題は底なしの広がりを見せています。

結果的に事故米を食用として扱っていた業者は約400社(現在まで)。

全国の病院、養護施設、学校給食、コンビニ
などにも使用されていたことが判明。
給食への混入は22都府県。

三笠フーズは架空会社を介して米を買い戻し、「食用」とし、価格を10倍以上につり上げ販売していた。

政府から買い上げている事故米取扱い業者の大手4社すべてが、食用への偽装を行っていたことも判明。

しかも偽装は、流通の各段階でも行われ、中にはキロ9円程度だったものが最終的にキロ340円になったものもあった。

農水省は過去5年間で96回の立ち入り検査をし、昨年1月に文書で内部告発があったにも関わらず、今の今まで見抜けなかった。

農水省は
「性善説に立ちすぎた」
とか
「不正をやっていないことが前提の検査だった」

と釈明しているが、これはとんでもない話。

そもそも検査は、不正が行われている可能性があるから行われているのであって、常に疑いを持ちながらやるべきもの。

そうでなければ、行う意味がない。
性善説に立ってるのなら、検査を行う必要はないし、むしろ行うこと自体税金のムダになる。

三笠フーズの財務担当者からは、
「農水省は当社の販売先に行って調べればすぐに見破れたこと」と
おちょくられる始末。


一部に三笠フーズが悪質かつ巧妙に偽装工作をしたから、見破るのは難しいとの意見もあるが、この財務担当者の言葉がすべてを物語る。

三笠フーズは事故米を事故米倉庫ではなく、加工用米倉庫に入れていたが、それを立ち入り検査の時に隠すために、事故米を倉庫の壁際に置いて、その前に加工米を高さ5メートルまで積み上げて、事故米を見えなくしたとのこと。

結果として、検査の時に、加工米倉庫内を見ることは1回もなかったというのだから、「巧妙」である以前に「形式だけの検査」であったことが明白

幸い、健康被害の報告はない。

確かに、メタミドホスなどの農薬の数値は基準値を超えていると言っても微量なので、人体に影響はないのはある意味当然。

しかし、カビに関しては天然物なので、保管中にどれだけ増殖しているかはわからず、人体への影響ははかりかねるので、不安がつきまとう。

今回の一連の報道の中で、最も呆れてしまうのが、政府もメディアも人体に対する影響予想を全くと言っていいほど言及しないこと。


事故米問題の一つの大きな課題は「食の安全」
つまり人体への悪影響がどれぐらいか。

政府、メディアとも過去の事故米がどのような理由で食用禁止となり、それが食用に転用されたときに健康への影響がどれほどあるのかの予測をするべきだ。

それは米がそのまま食べられる場合と、お菓子になる場合、お酒になる場合では違う可能性も大きい。

何も言及がないから、すべてが危険と判断され、不安が増幅し、健康被害の心配が全くないものまでが全面回収される結果を招く。


メラミンの問題でも同じことが言える。

日本で販売されたお菓子の中にメラミンが混入している”疑い”があるということで、全面回収になっている。

しかし「メラミンは大量摂取すると腎臓結石になる」と言われただけで恐怖を抱き、どんな微量でも口にしてはいけないと思う人はどうかしている。


なぜなら、水だって、大量摂取すれば脳症にかかって死亡する。
つまり世の中のどんな物質だって、大量に摂取すれば人体に大きな害を及ぼす。

だから、「大量に摂取すれば○○になる」という文言に何の意味もない。


問題にしなくてはならないのはその量。

確かに中国で、ミルクを「主食」にしている赤ちゃんは数名死亡しているが、お菓子とは状況が大きく異なる。


メラミンは欧米での研究で、
1日の摂取量が体重1kg当たり、0.5-0.63ミリグラムまでなら健康に影響ない
との結果があるとのこと。
体重50kgの人なら、1日25ミリグラムまで大丈夫ということ。
体重10kgの子供でも1日5ミリグラム

”仮に”お菓子の中にメラミンが入っているとしても、それほどの量がお菓子に入っているとは考えられないだろう。

どれだけそのお菓子を食べたら害になるのかという問題になる。

このような分析は、政府やメディアが行って発表するべきこと。

世の中に100%安全な食品なんてない。
だから、リスクの高低を考慮しないと、無意味な恐怖を覚え、食品、資源の膨大なムダを招く。





posted by うな太郎 at 09:28| Comment(1) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月15日

三笠フーズによる事故米の転売




「三笠フーズ」による事故米転売事件
は、長年食品業界の不祥事を見てきた僕にとっても、想定外のことでした。

そもそも、
なぜ農薬の基準値がオーバーしたものやカビがはえた商品が流通するのか

基本的に輸入時にこのような事故品は、輸出国に積み戻すか、焼却処分にされます。
つまり流通禁止。

食用以外の目的ならということで流通させたのだが、それであるなら、厳重に管理されなくてはならないのは子供でもわかること。

さらに農水省に対して疑問なのが、事故米となったがために、
価値が10分の1ぐらいになったことによる損はどこで補てんされているのかということ。

通常であれば、積み戻し(返品)によってクレイム処理するもの。

今回の場合、買付価格より大幅に安く販売することになったのだから、輸出企業に金銭的補てんをさせなくてはならないが、それをやっているとは考え難い。
「国民の税金」による補てんがなされてるとすれば、常識ではあり得ない許されないこと。


いずれにしても、事故米の流通を取り締まれるのは農水省しかなく、それが5年間にわたる96回もの立ち入り検査で見抜けなかったというのは、農水省に重大な責任がある。

立ち入り検査はあらかじめ期日を指定し、相手から提出された資料に目を通すという形式だけのもの。


昔からそうであったことは業界の誰もが知っているが、昨年来の偽装問題が頻発している中にあってもなお、それが維持されていたというのは、まさに
役人の税金ドロボーぶり
を物語っている。

どんなにニセ資料を提出されても、販売先をしっかり追跡すれば簡単に判明することである。

それにしても5年間に96回ということは1年に19回行われていたことになり、異常に多い。
農水省の役人が三笠フーズから飲食接待を受けていたのも明らかになった。
検査と称して、何をしに行っていたのか。


食用に適さない事故米は、焼酎、菓子メーカーだけでなく、病院、養護施設、保育園などの給食としても使用されていました。

三笠フーズの冬木社長は、
10年前ごろから別会社を買い取ってから始めた」と語り、事故米を扱うようになった経緯は「前所長から、”10数年やって方法を熟知している”と言われ、儲かるならと思って始めた」という趣旨を語った。

事故米の相場は1キロ5〜6円。三笠フーズは「あるだけ買いたい」とし、相場を大きく上回る¥9〜14で買っていた。
輸送費が1キロ¥30だから、米代はタダ同然。

この食用への転用は、三笠フーズだけではなく、それを含む大手3社すべてが行っていたことも判明。

ありていに言うと、
業界ぐるみでどの会社もやっていた
ということ。
製紙業界のエコ偽装みたいなもの。

伝統的に、まじめにやっては生きられない業界であり、まじめな新規参入もはばまれる世界であったということ。


それにしても僕が不思議に思うのが、日本でこのような事件が次々と明るみになっていながら、なお日本人を倫理的であると思い込んでいる人が多いということ。
それは多くの商品の国産信仰に如実に表れている。

他国の不祥事はいつまでも覚えているが、日本人の不祥事はすぐに忘れるらしい。

他国への批判は”目くそ鼻くそ”のレベルのものがあまりに多い。


自国のことをひいき目に見る気持ちもわからないでもないが、あまりに度が過ぎると、足元の大きな不正やリスクを見逃す。

まずは、日本人、日本社会そのものを見直し、徹底した取り締まりと不正への厳罰化を行わない限り、国民に負担とリスクを負わせ、
”濡れ手に粟”のボロ儲けで高笑いしている業者を存続、後押しする結果となる。

















posted by うな太郎 at 10:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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