2008年12月28日

今年1年を振り返って



食品に関してこの1年を振り返ると、一言で言って、偽装事件の発覚が多発した年だった。

農水省の発表によると、12月16日現在で、
98件のJAS法違反による改善指示
を行ったとのこと。

そのほとんどが、たまたま今年から行ったというものではなく、長らくやっていたものがようやく内部告発によって明らかになったというもの。

偽装の取締と摘発は、それ自体は厳しく行うべきだし良いことと思うが、一方多いに懸念すべきことが起こっている。

それは取り締まり強化による、
役人の権限とコストのアップ
だ。
食品の安全という面でも、コスト意識がなく、かつ際限のない安全志向がムダなコストアップを招いてきている。

消費者の食品への誤解や無知はほとんど変化がないどころか、助長されており、絶望的にも思える。


「消費者」という名のもとに弱者を装った消費者権力の横暴も目立つ。

ない権利も主張する「消費者」にもマスコミや世論は見方する。

昨年末に当ブログで書いたお題は

「一億総偽装社会」
だ。
(内容に過激な部分があるため、現在見れません(^_^;))

主旨は日本人の本音と建前のかい離があまりに大きく、一人一人が自分を偽っている、或いは自分を理解していない偽装社会であるということ。

1年経った今もその思いが強い。

さらに言うと、
自分はエゴしか持ち合わせていないにもかかわらず、他人には高い倫理、教科書的な倫理を要求する。


だから「自分にとってはマイナスでも公的にはプラスだから、それに賛成する」といった成熟した社会人の発想がない。

消費者も政治家も、自分にとって良いことを主張するだけ。
役人も、自分の省庁にとって良いことを主張するだけ。


特に「消費者」と声高に語る人には消費者エゴしか感じられず、義務や責任が欠如している。


ただ一方で良い傾向もある。

食品の安全に関して、
非常に冷静な分析をしている記事が散見され始めた
ことだ。

僕のところにも、勇気を持って真実を伝えよう(勇気がいるんです!)という記者たちが訪れた。

東京新聞、毎日新聞、朝日新聞、中日新聞、北海道新聞、週刊文春、週刊女性などなど。
彼らは、まだ主流ではないものの、しっかりとした記事を書こうと真剣に耳を傾けてくれて、実際に良い記事を書いてくれた。

来年は主流になってくれることを望みたい。

さて最後に、今年起こった食品偽装の中のワーストランクをご紹介したい。

これは僕の全くの独断によるもの。
世間をどれだけ騒がせたかではないので、「魚秀」のウナギ偽装事件は入っていない。

これを見て、いかに偽装が深く広く行われ、今後もなくならないかを感じてもらえることと思う。

騙されるより騙す方が圧倒的に悪いと思うが、騙される方も、騙されることによって、騙す人間を肥え太らせ、元気づけさせている責任も感じてほしい。

来年こそは騙されないようにしましょう!(=^・^=)

そして無駄な出費、無駄な廃棄をしないようにしましょう!(●^o^●)

では良いお年を!




1)サンシローフーズのウナギ偽装
茨城県のサンシローフーズは、ネットショップで、中国産ウナギを「四万十産」と表示し販売していた。しかも、販売実績のない価格から値引きしたように見せかけていた。
このネットショップは楽天から優秀な店を表彰する「大賞」を受賞していた。


2)タケノコ製品偽装

愛知県の「たけ乃子屋」は中国産のタケノコ水煮1100トンに国産14トンを混ぜて熊本県産など国産と偽装表示。(国産率0.1%)
偽装は4業者と協力して行われ、その中には、偽装協力業者の社員スナップを「県竹林農家のみなさん」とタケノコ生産者のように表示していた。


3)クエの偽装

大阪の水産会社「矢崎」が「アブラボウズ」を「クエ」として販売していた。
また、福岡市の料亭「てら岡」もクエ鍋セットとしてアブラボウズを販売していた。
クエは関西以西を代表する高級魚。
農林水産省による市場聞き取り価格は下記。
クエ;3,000ー10,000円/KG
アブラボウズ;700ー1,500円/KG


4)青森県果工のジュース偽装

青森にある青森県果工は、中国産のリンゴ果汁を青森産と偽装して販売していた。
さらに、「ストレート」と表示したジュースに使用が認められていない濃縮果汁や香料を使っていた。他にも表示にない香料や酸味料などの食品添加物が使われていた製品もあった。
これら商品は、日本農林規格(JAS)の認定を受け、JASマークが使われていた。
JAS認定機関である日本果汁協会は原則、年1回の工場調査をしているが見抜けなかった。


5)一色漁協のウナギ偽装

愛知県のウナギの養殖産地、一色町の一色漁協が台湾産ウナギを一色産として販売していた。
一般私企業ではなく、偽装を正すべき立場の漁協自らが行っていたことが特異だった。
一色漁協は、自社製品を差別化するために、シラスから一貫して地元で生産していることを謳った認証マークまで作っていた。


posted by うな太郎 at 22:11| Comment(3) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月20日

”顔が見える”生産者偽装



先日tv出演した「キミハ・ブレイク」の中で、オンエアはされなかったが、中居正弘と大竹まこと(敬称略)そして僕が会話になったシーンがあった。

中居君
「今後どうすれば、偽装がなくなるんでしょうね?」


「偽装をなくするのは非常に難しいですね・・・」

中居君(僕の次の言葉に大きくかぶせて)
「難しいんですか!!!偽装をなくすることがそんなに難しいのですか!!??どうしてなんです?」


「要するに、偽装をした場合のウマミがあまりに大きいからです。例えば、品質は何も変わらなくても国産と中国産では通常で2〜3倍の値差があります。」

大竹
「そうだよね!ウナギだってスーパーでみたら、国産と中国産では、何倍も違うんだよね〜!」


「さらに万一捕まっても、ほとんどのケースでは、JAS法違反で注意だけで済んでしまうんです。」

中居君(驚いたように)
「本当なんですか・・・」


中居君は僕の話を非常に驚いて聞いていましたが、僕自身は彼が驚いていることが意外でした。

長年食品業界にいると、当たり前になっていることが、一般の方には驚きであるということを改めて感じられたシーン。

改めて言うと
食品偽装はなくなりません。


世の中には、いつの時代もどこの国でも犯罪はある。
しかも人殺しや盗みなど、誰もが犯罪であることを認識し、捕まったら刑に処せられることがわかっていても犯す。

食品偽装は、ウマミが大きい割に、簡単にできるし、捕まっても実刑までいくケースはまれ。
さらに品質や安全性が同じであれば罪の意識も薄い。

だから、食品偽装がなくなるというのは、世の中に人殺しも盗みも詐欺もなくなった後でなくては起こらない。

そんなことありえないというのがおわかりと思う。

決して偽装を正当化する気はないが、消費者はそういった前提で生活していくべきだ。



先日も中国産タケノコを国産と偽装していた愛知県の「たけ乃子屋」が摘発を受けた。
今回の特徴は偽装表示を協力した業者が4件もあったこと。

「たけ乃子屋」は、その4業者に販売し、「熊本県産」などと表示した袋につめかえさせて、販売額の1割増しで買い戻していた。

さらに、その協力業者の社員のスナップ写真を使用し、「県竹林農家のみなさん」とタケノコ生産者であるかのように表示していた。

つまり今大人気の「生産者の見える商品」を利用した偽装。

「生産者の顔が見えるから安心ね!」
と信用して買ったところが、実はその”生産者”は偽装を結託して行っていた社員だったということ。。
もちろん中身は国産ではなく中国産。。


僕はかねてから、「生産者の見える商品」人気の危険性を指摘してきたが、その恐れがまさに現実となっていた。

食品偽装は単純にラベルを貼り替えるだけではなく、このように手の込んだ、そしてある意味、体を張った演出で行うようになっているのだ。


実は僕のブログで
「食品表示を見ないで買うべき16の理由」というのがある。

主旨は、食品表示をくまなくチェックしてから買う人ほど騙される!
という皮肉な現状を語ったもの。
その今年の6月の記事でも警鐘を鳴らしていた。

「”生産者の顔が見える”の落とし穴」





posted by うな太郎 at 11:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月07日

食品の無駄2



今回は、食品の無駄に関しての前回の続編といたします。

消費期限は、保存期間が短いもの(製造日から概ね5日以内)に表示し、賞味期限は、保存期間が比較的長いもの(製造日から概ね5日以上)に付けられます。

冷凍品に関しては当然のことながら賞味期限が記載されています。

そして冷凍品の原料(魚でいうと一匹まんまやフィレなど)の賞味期限は製造日から通常18か月から24か月

「えっ?そんなに長いの?」と思う人も少なくないでしょうが、それが現在の食品流通の常識であって、一般の人があまり知らないだけ。

業務用の冷凍庫は、家庭用のものとは大きく違っており、
通常マイナス30度前後

ここで保存すれば、包装状態が良ければ、2年半(30か月)ぐらいは何の問題もありません

ちなみに外気が当たるようなずさんな包装状態であった場合は、すぐに冷凍ヤケといって、中の脂が浮き出て変色し、身がボロボロになります。


つまり6日の賞味期限が1日超えたら「賞味期限切れ」なのは当然ですが、冷凍品のように2年間から1日超えただけでも「賞味期限切れ」になります。
一口に賞味期限切れと、これだけ大きな差があるのです。

2年間の賞味期限が1日やはたまた30日ぐらい超えても、品質に何の変化もないのが普通。
極端な話、1年ぐらい超過しても、加熱調理して食べるのであれば何も問題ありません。

しかし、一般消費者はそういった事実を知らないか、知っていても異常に敏感なせいで、賞味期限切れ=食べられない、といった世論になっています。

メディアも無知な場合が多く、
賞味期限切れの食品を販売してはいけないと勘違いしているがため、
批判一色の報道がなされる場合があります。

そうなってからでは企業としては取り返しがつきません。

そのせいで、現在冷凍食品の流通では、賞味期限切れを極度に怖がるが為、
期限切れが近いものは大暴落しています。

切れたら、即廃棄処分にしなくてはという脅迫観念。
廃棄処分にするのもお金がかかるので、期限切れ直前のものはタダ同然。

当然、在庫を持つ業者は大損!

消費者は、業者の損だから関係ないと思うなかれ。
会社の雇用や給料に影響するし、何より今後販売時にはそういったリスクを勘案して販売しなくてはならないので、価格に反映されます。


現在、日本人が食べている水産物のほぼ半分は輸入品。
そして輸入品のほとんどは冷凍品です。

国産のものでも、サンマやサバのように冷凍品が多いものもあるので、
日本人が食べている水産物の半分以上が冷凍品

だから、この事実も大量の食品が廃棄される温床になっています。


厚生労働省が先日、「加工食品の表示に関するQ&A」というものを発表しました。
厚生労働省Q&A(第2集:消費期限又は賞味期限について)

珍しくかなり踏み込んだ内容になっております。
Q29の消費期限と賞味期限の切れた商品の販売に関して、抜粋します。

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仮に表示された期限を過ぎたとしても、当該食品が衛生上の危害を及ぼすおそれのないものであればこれを販売することが食品衛生法により一律に禁止されているとはいえません。
しかしながら食品衛生を確保するためには、消費期限又は賞味期限のそれぞれの趣旨を踏まえた取扱いが必要です。

まず、消費期限については、この期限を過ぎた食品については飲食に供することを避けるべき性格のものであり、これを販売することは厳に慎むべきものです。

また、賞味期限については、期限を過ぎたからといって直ちに食品衛生上問題が生じるものではありませんが、期限内に販売することが望まれます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

つまり簡単にいうと、賞味期限切れの食品は、期限内に食べるのが望ましいが、衛生上の問題がなければ販売してもいいよということ。

そして何より注目してほしいのが、消費者側の心得にまで言及していること。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「賞味期限」が表示されている場合には、その年月日を過ぎた場合であっても、食品の品質が十分保持されていることがあります。すぐに捨てるのではなく、その見た目や臭い等により、五感で個別に食べられるかどうかを判断するとともに、調理法を工夫することなどにより、食品の無駄な廃棄を減らしていくことも重要です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

これら厚生労働省の発表に「いい仕事ぶり」としてわかりやすく解説なさっている方がいます。
多くの本を執筆なさっている科学ライターの松永和紀さんのブログです。
松永和紀blog〜厚生労働省のいい仕事ぶり〜


厚生労働省はせっかくいい内容の発表をおこなったのだから、もっと広報活動をして、一般消費者に知らしめるようにするべきです。
そうでないと、このまま食品の無駄とその経済的損失がタレ流しされ続けることでしょう。
posted by うな太郎 at 11:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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