2008年06月11日

メディアの惨状



拙著「食品の迷信」の編集の中で、残念ながら原文から削除された文章が下記の3つほどありました。

1)アメリカ産牛肉は危険ではない
2)農薬、添加物、ダイオキシンなどで蓄積された被害は何も確認されていない
3)メディアの多くは我田引水報道か、タレ流し体質


今回は3)に関連する事について説明します。

メディア報道というのは、特に食品に関していえば、そのほとんどが、事実や科学に基づかないもの。

一番多いのが、「危険」を前提にそれに見合う情報を無理やり集めてきて、逆の情報は捨てて流すもの。
次に多いのは、単なるタレ流し。

「食品の迷信」の中でもその例をたくさん挙げました。


さて、現在目に余るのが、食糧自給率報道。

まさに現在進行形なので、その態様の変化がよくわかり、良いサンプルになります。

まず、僕が知る限り日本の食糧自給率向上への反論はもちろん、冷静な分析を行う報道すらほとんど皆無だ。

反論したら「国家反逆罪」で捕まる国のようだ。

特に、穀物の値上がり、世界的食糧不足、干ばつ・異常気象・地球温暖化・・・などの報道の後には、お約束のように、
「日本は食糧自給率を上げる必要に迫られている」とくる。

昨日の「ガイアの夜明け」でもそうだった。
食糧価格高騰をテーマにした番組の最後の締めの解説は、
「食糧自給率改善に向けて、もう待ったなしの状況なのかもしれません」

「食糧自給率改善」???
「待ったなし」???

言葉がどんどん、
「自給率向上を目指すのが当たり前」
「異論をはさむなんて変人」

という方向に向いている。

その是非の議論は終了して、すでに具体策へ移行しようとしている。

これらの報道は、自給率を向上させるべき理由の正確な検証が全くなされていない。

間違った前提のうえで、議論を始めている。
さらに、自給率を向上させることによるメリットとデメリットの検証や報道もない。

もちろん、そこから導きだされる結論も、デタラメ。


「農薬危険」「添加物危険」「中国食品危険」「国産安全」
これらすべても同様の流れだったように思う。

これがメディアの惨状だ。


だれも反論しないので、僕がやります。
以前も取り上げましたが、ここではわかりやすく簡潔にします。

自給率向上はあくまで、個人の選択の中で行うだけなら結構。
自給率低下の主な原因は、食生活が洋風化して、畜肉や油脂類の消費が増え、米を中心とした日本食の消費が減ったこと。

「健康に良い日本食に戻そう!」という運動なら良いと思う。

しかし、現実的には洋食化が進んでいる中にあって、せいぜいその傾向を食い止めるのが精一杯のところではないだろうか。

だから、国内で生産量を増やした場合、消費が増えない以上、価格が下がる。
それでは農家はやっていけないということで、政府は農家に補助金を出すという展開が待っている。

つまり自給率向上のために、国民の税金が使われるのだ。


そして、税金だけではすべてを賄えないから、輸入作物への規制を行って、食品を高いものにする。

低所得者層には直撃だ。
生活破たん者も増える。


そもそも食糧自給率向上のための大義、「食糧安保のため」というのはウソだ。

国産が決して安全なわけではないし、外的要因で食糧供給が不安定になるのではなく、むしろ内的要因のほうが不安定だ。


狭い日本の国土の自給率を高めると、天変地異の影響を受けやすい。
1993年には自給率100%の米が不作でパニックになった。
自給率の高い、レタスやキャベツも天候の影響ですぐに5倍などになってしまう。

また「もうお金さえ払えば、外国から食糧を買えるという時代は終わり」という話も聞こえる。

終わりなはずはない。

日本はいわば世界でも有数の金持ち国家だ。

日本人の経済力でも食糧が買えない世界というのはあり得ない
といっていい。
その時は、世界のほとんどの人が飢えるときだ。


簡単にいえば、政治家、官僚のターゲットは国民の税金だ。
エコも地球温暖化も同じ。

庶民の暮らしが楽にならない中で、無用な食品価格の高騰と、競争力のない農業へのこれ以上の税金投入は、やめるべきだ。


そういうこともわからずに、横並び報道に加えて、表現をエスカレートさせていくメディアはヒドイ。
























posted by うな太郎 at 10:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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