2008年01月24日

賞味期限偽装の根の深さ



先日のNHK「クローズアップ現代」で、賞味期限偽装がとりあげられていました。

それによると、
過去2か月で東京都だけでも約100件の賞味期限偽装が明らかになったそうです。

まさに「どこでもやっている」という状態であることが裏付けられているのではないでしょうか。

そして興味深い例として、干し芋製品の偽装のことが出ていました。
その加工業者は検査の結果、賞味期限は加工日から90日まで大丈夫という結論が出ました。
しかし、より安全性を追求して商品には60日で打つこととしました。
ところが、大手スーパーから賞味期限を30日にするようにとの要請があり、断りきれなくてそれを受け入れました。

予断ですが、食品業界でスーパーは王様です。
圧倒的に量を売ってくれるので、だれもがひれ伏すような状態。
スーパーが謝恩セールとか、消費者のためなどと謳うときは納入業者が泣かされているといっていいでしょう。^^

話を元に戻すと、その加工業者は
30日で返品されてきた干し芋を再加工、再利用したというのがことのあらましです。

ここは有名企業ではなかったので、あまり報道で取り上げられなかったのですが、誰もが知っている企業であったら赤福や白い恋人のようになっていたことでしょう。

僕は保管状態がはっきりしているものに対しては、業者の裁量に任せるべきと思います。

もともと賞味期限自体が業者の判断で作られたものであり、それを一度表示したら、それ以降は必ず廃棄するということはあまりに硬直的です。

食品業者は言うまでもなく、食中毒を一度起こしたら廃業の危機を迎えます。
だからこそ、慎重に短めの期限を定めているのです。

その証拠に、これだけ賞味期限偽装が多発、日常化していても食中毒が起こったという事件はほとんど聞きません。


流通経路、保管状態がはっきりしていて、業者が検査をして、責任を持って販売するということであれば問題ないはずです。

安全性を確認する業者の判断を信用できないというのであれば、そもそも賞味期限自体信用できないはずです。

この硬直化した食品衛生法こそが、いらぬ混乱と莫大なムダを生み出しているように思います。


また、同番組のゲスト(解説者)は「食品表示アドバイザー」の垣田氏でした。
この方、よく書籍等で根拠のない危険を語っている方。

幸いここでは、危険を叫ぶことはなかったですが、番組の結論は残念ながら、お決まりのパターン。

「改めて業者のモラルが問われます」
「目先の利益にとらわれて偽装をすると結果的に損になるのだということを知って欲しい」
「正直にすべてを開示することが、消費者の信頼につながる」


耳障りの良い言葉ですが、これでは何の解決にもならない、いわば空論ではないでしょうか。

この言葉に対して
「改めて考えたら反省しました。以後はやめます」
という業者がいたらあってみたいのもです。^^


冷凍技術が発達し、通常の営業用冷凍庫はマイナス20度以下。
マグロなどを保管する超低温だとマイナス50度。

常温で3日でダメになるものでも、営業用冷凍庫に保管しておけば、
それよりはるかに日持ちすることは明らかです。
味も風味も変わりないことも普通です。

冷凍水産物は通常2年間大丈夫。
例えそれが過ぎても、味は落ちることはあっても衛生上は問題ないというのが扱い業者の常識です。

ところが、消費者はあまりに知らなさすぎます。

自宅の冷蔵庫での経験を、そのまま営業用冷凍庫にあてはめて考えているのではないでしょうか。

「1回冷凍したものはマズイ。食べたくない。」
「1年も保管したものは怖い」
「常温で3日なら冷凍でも3日じゃないと危険。」


効率化とムダを省くために、1回に大量に製造したものを冷凍にして保存し、後日解凍して使用するということはよくあることです。

番組の中で老舗の和菓子メーカーもやっていました。

だから「すべてを開示したら消費者の信頼を得られる」ではなく、
「本当のことを言うと売れなくなる」というのが実態です。

耳障りのいい言葉はたいてい間違っています。
明らかにウソをついたほうが儲かるから偽装を行うというところに食品偽装問題の根があります。

偽装までしなくても、本当のことが言えない業者、飲食店はたくさんあります。


賞味期限偽装の根は深く広い。


根絶するのは難しいことですが、解決の一番の近道は、消費者が食品の真実を知り、さまざまな偏見をなくすることだと思います。


posted by うな太郎 at 09:33| Comment(3) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
賞味期限・・・あれって何なんでしょうね。
期限過ぎても目で見て判断して、臭いやらなんやらで、結構、期限過ぎても食べられますよ!
ちょっとヤバかったら、よく火を通して食べるし。
卵なんて賞味期限後1週間でも平気ですよ!

賞味期限とかって、生産者の逃げ道だ!って思うんですよね。
もし、病気になったときに訴えられない為のバリア機能なのかなあ・・。
Posted by ケチケチ主婦 at 2008年01月28日 13:21
ケチケチ主婦さん、
コメントありがとうございます。

そうなんです!
昔は賞味期限というのはなかったので、自分の五感で判断していたものです。

今では、自分で判断する能力も衰えて、賞美期限至上主義になってしまいました。

「味が落ちるかもしれない」という基準の賞味期限に過敏になって莫大なムダを引き起こしていることを忘れてはならないと思います。
Posted by うな太郎 at 2008年01月30日 08:51
初めてメールを送らせていただきます。私は長年、食品メーカーで働いてきました。定年までの9年間は消費者室長でした。賞味期限の問題につきましては、芳川様のご意見と同感です。テレビでは、コメンテーターが食品に関する知識のないままに、不正確な議論をしており、実に不愉快です。何とか改善してもらいたいと思っております。これからもよろしくお願い申し上げます。
Posted by 小山英男 at 2008年05月25日 22:34
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