2008年10月13日

「自給率を上げよ」はまやかし



僕は、消費者が自主的に、日本の農業を守るため或いは日本の経済のために、日本の自給率を向上させようとすることは良いことと思っている。

ご飯をたくさん食べるようになれば自給率向上につながるが、
そうなれば日本の固有の文化が継承されるし、健康にも良いことになる。

しかし、現在行われている自給率向上の運動は、明らかに
「食糧安全保障のため」といった錯覚の上に成り立っており、それが国家的な危急な目的であるかのように扱われているのが大きな問題だ。

最近なって、このような主張をしているのが僕だけではないのがわかった。

今回のブログの題名は、明治学院大学の神門善久教授の「週刊新潮」(10月9日号)での題名
”「食糧危機」はウソ〜「自給率を上げよ」はまやかし〜

から拝借させてもらった。

神門教授は、他にも日本経済新聞の「経済教室」にも寄稿され、
「食糧自給率向上は的外れ」といった論文を出されている。

僕が今まで目にしてきた学者を含めた専門家と称する人たちが、
こぞって稚拙な論理を展開して危機を煽っている中にあって、神門氏の存在は一筋の光ともいえる。

「少数意見ほど正しい」
「反発の多い意見ほど価値がある」
といったことが多いので、僕一人だけの意見でもそれはそれでいいのだが、やはりこういう人の存在は心強い。

神門氏の記事内容は僕が今まで主張してきたことと非常によく符合するので、詳細はここでは省略する。

象徴的な一文だけをご紹介すると、

『(仮に食糧自給率100%にしても安心できないのは)1993年に日本で体験した大冷害の経験からあきらかである。コメの輸入を原則として禁止していた当時の日本は、この大冷害がもたらしたコメ不足に対して慌ててコメの緊急輸入を発動した。ところが、普段の取引がないためにコメ輸入のノウハウや設備に事欠き、見当違いの品質のコメを海外で買いつけてしまい大量に売れ残ったり、(中略)混乱をきわめた。さらに「苦しいときだけなりふり構わず輸入する日本」として、国際的にも失笑をかってしまった。』

そして日本がめざすべきは、食料自給率の向上ではなく、
『食料の安全確保に向けて、相互に輸入・輸出しあう構造を構築し、農産物貿易の厚みを増すことだ』



何事も「危険でない」と主張するためには、あらゆるすべてのリスクを考え解説しなくてはならないので大変な作業になる。

「危険である」はたった一つの事象を、将来の可能性として解説するだけでいいので簡単だ。


今後は神門氏のように、その大変な作業をやる人が増えてきてほしいものだ。


posted by うな太郎 at 16:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月11日

食糧危機報道の現実3



現在、世界のすべての人々に行き渡るだけの食料が生産され、供給されています。

問題は、富の偏在により、食糧不足の国と飽食の国ができていること。

日本はもちろん、良い意味でも悪い意味でも世界有数の”金満国家”で飽食の国。
供給食料の1/3を廃棄している。

世界中のおいしくて高い食品を輸入して食べている。
しかも輸入関税が高く設定され、穀物は世界の相場の数倍のお金を払って買っている。

そんな日本が食糧不足になるというのはどういうことかというと、
それは
世界の約9割以上の人たちが食糧不足で飢えた状態
になるということ。

地球温暖化を食糧不足と結びつける人も多いが、温暖化すればシベリアやアラスカなど今まで耕地に不向きだったところでも農業ができるようになるプラス面を考えれば、
供給が著しく減ることはない。


世界的に人口は増えているが、遺伝子組換え作物をはじめとした農業技術は進歩しているし、まだまだ世界中に耕地になりえる土地はたくさんある。

穀物のエタノール化は、貧しい国に食糧不足を起こす原因ではあるが、この問題は日本は結果的に加害者のほうである。

なぜなら、日本は原油が高くなったことから、それまでの生活レベルを維持するために、本来食料となるべき穀物をエネルギーとして活用するようになった当事者。

結果的に”ぜいたく”な暮らしを維持するために、貧しい国から食料を奪って、貧困や飢餓を助長したことになる。



このような中で、
日本が食料自給率を上げなくては”飢餓国家”となるなどという主張は荒唐無稽
としか思えない。

日本が世界の中で、どれほど金持ちで豊かなのかがわかっていない。

「1999年の7月に空から大王が降りてきて、地球上の大多数の人が死ぬ」と恐怖を煽ったノストラダムスの大予言を彷彿させる。


次回は「日本の食料自給率」に関する新たな話。


posted by うな太郎 at 16:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月10日

食糧危機情報の現実2



世界的な食糧危機に警鐘を鳴らし、日本は食料安全保障のために自給率を上げるべき、というのが知識人と呼ばれる人たちの、一般的主張だ。

世論もその通りに動いている。

最近出版されている書籍の中で目立っているのが、丸紅経済研究所所長・柴田明夫氏が書いた
「飢餓国家ニッポン」〜食料自給率40%で生き残れるのか〜

この方は、過去に「食糧争奪」「資源インフレ」など類似の本を出版している。

僕は「食糧争奪」と「飢餓国家ニッポン」を拝読させていただいたが、内容的には非常に似通っており、まさに題名そのものの内容になっている。

結論からいうと、呆れた内容と言わざるを得ません。

「飢餓国家ニッポン」で、何度も繰り返している言葉が、
”転ばぬ先の杖を100mも200mを先につくべき”

この比喩は非常に的確ですが、僕には矛盾としか思えません。

なぜなら、転びそうになるときに、100mも200mも先に杖があっても意味がない。 肝心の時に役に立たない杖にコストをかけるほどムダなことはない。

もしこんなことが許されるなら、では1キロも2キロも先に杖をつくのも許されるのか?

コスト意識が全く感じられない発想
のように思う。

また、食料危機に関して、
「おにぎり1個が300円になる日が来るかもしれない。そうなれば日本にも餓死者が急増する。」

僕の意見は、
「あり得ないことに怯えて、おにぎり1個100円で食べれるものを150円にするべきではない。」

また、同氏は
「今起きているのはパラダイムシフトであり、穀物だけでなくて他の食糧、原油、鉄鉱石、非鉄金属などあらゆるコモディティが上がっていくと予想している」

全く驚きの予想である。

見識を疑わざるを得ない。

前回も書いたが、あらゆる商品にはマーケットメカニズムが働くわけで、それが働かない理由など現在のこれらの商品にはない!

147ドルまで上がった原油相場がここ3か月で88ドルまで下がったが、それがまた元の高値に戻すという理由があるのなら、ぜひ聞きたいものだ。

本の表紙帯に大きく書かれているのが
「食糧輸入が途絶えれば7000万人の食べ物がなくなる!?」

一介のジャーナリストならいざ知らず、地位のある方がこのような「売らんかな」発想としか思えない本を出すことに驚きを感じる。


食糧不足になる恐怖は全く感じないが、誤った情報ばかりが氾濫することに恐怖を覚える。
















posted by うな太郎 at 10:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月07日

食糧危機情報の現実1



世の中に出回っている危険、危機情報の9割はニセ物や誇張だと思って良い。

実は「危険ではない」とは言いにくい。
100%安全という証明などできないからだ。

そして言ったとしても何もメリットがない。
「危険でない」という情報に価値が認められず、興味も持たれない。
しかも受け手からすると、「何も深く考えていないのでは?」と受け取られてしまう。


それに対して、「危険である」は言いやすい。
危険である可能性が0でない限り、どんなに確率が低くても「可能性がある」の一言を入れれば、反論が難しい。

そして「危険である」という情報はそれだけで価値が認められ、注目を浴びる。
受け手からは、「警告してくれてありがたい」という気持ちになる。

しかも「危険でない」と言っている者より深く分析していると思われる。
関連商品を販売している会社や団体からは、重宝がられお呼びがかかる。

このように危険情報を流すのは”言いことずくめ”といっていい。

これが間違いだらけの「危険情報」が氾濫する理由だ。


今回は食糧危機。

特に今年に入ってからは、原油や食糧の高騰を契機に食糧危機が叫ばれている。

しかし、皆さんは以下のことをご存じだろうか。

原油は今年7月11日に1バレル147.27ドル(WTI)の最高値をつけたものが、9月には100ドルを割り込み、10月6日は87.56

小麦は今年6月26日に952.75ドル(シカゴ)だったものが、10月6日には588.00

大豆は今年7月3日に1663.00ドル(シカゴ)だったものが10月6日には922.00

トウモロコシは今年6月27日に765ドル(シカゴ)だったものが10月6日には424.00

つまり原油も穀物もたったここ3か月の間に約40%値を下げたことになる。

値段が高騰するときは連日ニュースで取り上げられ、危機が叫ばれていたにも関わらず、値段が下落して危機が遠のいたときは何も報道されない。

報道されているのは株の下落危機ばかり。

これが報道の実態だ。

もともと、原油資源はまだ豊富にあり、供給に問題はない。
産油国の意図的生産調整や投資資金流入で高騰したもの。

あらゆる商品価格はマーケットメカニズムが働き、高騰と下落を繰り返すもので、今回の高騰にはそのセオリーを覆すだけの理由はもともとなかった。

原油価格が高くなれば、代替え資源が利用されたり、景気が悪くなるなどで、原油の消費が落ち込み供給過剰になる。

穀物価格が上がれば、今まで採算の合わなかった土地や未開地まで農地を広げることとなり供給が増える。


地球上に巨大隕石でも落ちてこない限り、価格が一本調子で上がり続けるなどということはない。


しかし、そのような現状でもなお、食糧危機を唱え、日本の食糧自給率を上げるべきということを主張している人たちも少なくない。

その話は次回に。


posted by うな太郎 at 08:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月01日

食品安全委員会のリスク評価



食品安全委員会というのは、内閣府のもとにおかれている食品のリスク評価を行うための機関です。


各省庁からは独立していることから、客観的、公平に行うこととされ、現在日本で食品のリスクを調べるうえで、最も信頼がおけると判断できます。

その食品安全委員会が、最近の食品事件に関し、非常に明確なリスク評価を行っています。

まず、中国で乳児死亡者を出し、日本でも丸大食品の菓子から検出されたメラミン。
食品安全委員会のメラミンのリスク評価

内容は簡単に言うと、最もメラミンが多く検出された
「クリームパンダ」でも体重50kgの成人がそれを毎日17個、一生涯食べても、健康被害が起こらない量だったということ。


次に三笠フーズなどによる事故米のリスク評価。
この事件では、主に農薬のメタミドホスと、カビ毒が問題になっているが、まずメタミドホス。
事故米におけるメタミドホスのリスク評価

要約すると、今までに検出されたメタミドホスの数値から計算すると、一度に(24時間以内)に食べて害が起こる量は、体重50kgの人で2.5kg。(お米17合分)
そして、一生涯毎日食べても害がない値は、体重50kgの人で1日500g。500gは平均的な日本人の消費量の3倍なうえ、事故米だけを食べ続けることは考えられないので、心配はいらない。


ここまでは、非常にわかりやすく明快なレポートで素晴らしいと思います。

しかし、僕にとって、いや日本国民にとって最も興味をもたなくてはならない、カビ毒に関しては急にトーンダウンします。というかリスク評価自体行っていません。
カビ毒、アフラトキシンの概要

実は、アフラトキシンは、食品から検出されてはならない物質とされているため、基準値はありませんでした。
今回の事件を受けて、ようやくどの程度の量を摂取すると健康被害が起こるかを検証することになったといいます。

このことは非常に示唆に富んでいます。

第一に、危険と思われている「化学物質」「農薬」「抗生物質」などはリスク評価がきっちり行われているのに対して、カビ毒のような「自然物」はリスク自体が調べられていない。
しかも化学物質は自然に増えないが、自然物は自然に増殖する。
だから、自然物の毒性にこそ注意を払うべきである。

第二に、日本にとってメラミン問題より事故米問題のほうがはるかに深刻であること。

なぜなら、現状ではメラミンの健康被害が起こる可能性がほとんどなくなったのに対し、まだ消費されていないカビの生えた事故米が通常の食品として存在している可能性が高いからだ。

ここ数日はメラミンの報道のほうが中心になっている。
中国国内はもちろん、ご丁寧にインドネシアや韓国での状況まで詳しく伝えている。

しかし、私たちは中国を批判するのに陶酔している場合ではない。

事故米問題は、食中毒が身近に迫っている可能性がある。
さらには、日本人として特別の郷愁や思い入れがある主食のお米に対してなぜこのような大規模な詐欺事件が長年にわたり放置されていたのか、という問題を明らかにして、解決していかなくてはならない。









posted by うな太郎 at 08:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月27日

朝日新聞のメラミン記事



本日(9月27日)の朝日新聞朝刊の記事には、うれしい驚きがありました。

丸大食品の回収された菓子の中から、メラミンが検出された記事。

一面トップで、「回収食品からメラミン」と大見出しで出た後、
本文の最初の文章が以下。
「検出濃度は0.8〜37PPMと微量で、健康への影響は考えにくいという」

今までこのような冷静な文章は、書かれてあったとしても、長文の一番最後に来る程度でした。

危険を煽るばかりの報道ばかりの中、今回の報道姿勢は画期的
と言っていいと思います。

さらに、38面の詳細な記事の中では、以下の文章。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜抜粋します。

欧州食品安全機関の暫定基準値によると、体重50キロの人は1日に
メラミン25ミリグラムを、体重5キロの子供なら2.5ミリグラムを摂取したとしても健康に影響は出ないという。
今回の検出濃度をもとに計算すると、市販の菓子「クリームパンダ」1個には、最大で1.5ミリグラムのメラミンが入っていたことになる。
体重50キロの人なら1日に約17個、体重20キロの子供なら、約7個食べても、問題のない計算になる。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここまで

さらに学者の冷静な対応を呼びかける内容が続いた。

まさしく、僕が前回の記事で指摘した、
科学的な計算によるリスク評価
を完璧にしてくれました。


僕が拙著「食品の迷信」の中で訴え、その後も再三にわたって苦言を呈してきた一方的報道姿勢が、大きく変わった瞬間に出くわしたような、そんな気がします。


今後は消費者自身が賢くなって、大袈裟に感情的に危険を煽る記事や本は売れなくなり、
冷静な科学的根拠に基づいた現実的な記事や本が売れるようになって欲しい
と思います。













posted by うな太郎 at 14:37| 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月23日

三笠フーズの事故米・続編



事故米(汚染米)の転売問題は底なしの広がりを見せています。

結果的に事故米を食用として扱っていた業者は約400社(現在まで)。

全国の病院、養護施設、学校給食、コンビニ
などにも使用されていたことが判明。
給食への混入は22都府県。

三笠フーズは架空会社を介して米を買い戻し、「食用」とし、価格を10倍以上につり上げ販売していた。

政府から買い上げている事故米取扱い業者の大手4社すべてが、食用への偽装を行っていたことも判明。

しかも偽装は、流通の各段階でも行われ、中にはキロ9円程度だったものが最終的にキロ340円になったものもあった。

農水省は過去5年間で96回の立ち入り検査をし、昨年1月に文書で内部告発があったにも関わらず、今の今まで見抜けなかった。

農水省は
「性善説に立ちすぎた」
とか
「不正をやっていないことが前提の検査だった」

と釈明しているが、これはとんでもない話。

そもそも検査は、不正が行われている可能性があるから行われているのであって、常に疑いを持ちながらやるべきもの。

そうでなければ、行う意味がない。
性善説に立ってるのなら、検査を行う必要はないし、むしろ行うこと自体税金のムダになる。

三笠フーズの財務担当者からは、
「農水省は当社の販売先に行って調べればすぐに見破れたこと」と
おちょくられる始末。


一部に三笠フーズが悪質かつ巧妙に偽装工作をしたから、見破るのは難しいとの意見もあるが、この財務担当者の言葉がすべてを物語る。

三笠フーズは事故米を事故米倉庫ではなく、加工用米倉庫に入れていたが、それを立ち入り検査の時に隠すために、事故米を倉庫の壁際に置いて、その前に加工米を高さ5メートルまで積み上げて、事故米を見えなくしたとのこと。

結果として、検査の時に、加工米倉庫内を見ることは1回もなかったというのだから、「巧妙」である以前に「形式だけの検査」であったことが明白

幸い、健康被害の報告はない。

確かに、メタミドホスなどの農薬の数値は基準値を超えていると言っても微量なので、人体に影響はないのはある意味当然。

しかし、カビに関しては天然物なので、保管中にどれだけ増殖しているかはわからず、人体への影響ははかりかねるので、不安がつきまとう。

今回の一連の報道の中で、最も呆れてしまうのが、政府もメディアも人体に対する影響予想を全くと言っていいほど言及しないこと。


事故米問題の一つの大きな課題は「食の安全」
つまり人体への悪影響がどれぐらいか。

政府、メディアとも過去の事故米がどのような理由で食用禁止となり、それが食用に転用されたときに健康への影響がどれほどあるのかの予測をするべきだ。

それは米がそのまま食べられる場合と、お菓子になる場合、お酒になる場合では違う可能性も大きい。

何も言及がないから、すべてが危険と判断され、不安が増幅し、健康被害の心配が全くないものまでが全面回収される結果を招く。


メラミンの問題でも同じことが言える。

日本で販売されたお菓子の中にメラミンが混入している”疑い”があるということで、全面回収になっている。

しかし「メラミンは大量摂取すると腎臓結石になる」と言われただけで恐怖を抱き、どんな微量でも口にしてはいけないと思う人はどうかしている。


なぜなら、水だって、大量摂取すれば脳症にかかって死亡する。
つまり世の中のどんな物質だって、大量に摂取すれば人体に大きな害を及ぼす。

だから、「大量に摂取すれば○○になる」という文言に何の意味もない。


問題にしなくてはならないのはその量。

確かに中国で、ミルクを「主食」にしている赤ちゃんは数名死亡しているが、お菓子とは状況が大きく異なる。


メラミンは欧米での研究で、
1日の摂取量が体重1kg当たり、0.5-0.63ミリグラムまでなら健康に影響ない
との結果があるとのこと。
体重50kgの人なら、1日25ミリグラムまで大丈夫ということ。
体重10kgの子供でも1日5ミリグラム

”仮に”お菓子の中にメラミンが入っているとしても、それほどの量がお菓子に入っているとは考えられないだろう。

どれだけそのお菓子を食べたら害になるのかという問題になる。

このような分析は、政府やメディアが行って発表するべきこと。

世の中に100%安全な食品なんてない。
だから、リスクの高低を考慮しないと、無意味な恐怖を覚え、食品、資源の膨大なムダを招く。





posted by うな太郎 at 09:28| Comment(1) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月15日

三笠フーズによる事故米の転売




「三笠フーズ」による事故米転売事件
は、長年食品業界の不祥事を見てきた僕にとっても、想定外のことでした。

そもそも、
なぜ農薬の基準値がオーバーしたものやカビがはえた商品が流通するのか

基本的に輸入時にこのような事故品は、輸出国に積み戻すか、焼却処分にされます。
つまり流通禁止。

食用以外の目的ならということで流通させたのだが、それであるなら、厳重に管理されなくてはならないのは子供でもわかること。

さらに農水省に対して疑問なのが、事故米となったがために、
価値が10分の1ぐらいになったことによる損はどこで補てんされているのかということ。

通常であれば、積み戻し(返品)によってクレイム処理するもの。

今回の場合、買付価格より大幅に安く販売することになったのだから、輸出企業に金銭的補てんをさせなくてはならないが、それをやっているとは考え難い。
「国民の税金」による補てんがなされてるとすれば、常識ではあり得ない許されないこと。


いずれにしても、事故米の流通を取り締まれるのは農水省しかなく、それが5年間にわたる96回もの立ち入り検査で見抜けなかったというのは、農水省に重大な責任がある。

立ち入り検査はあらかじめ期日を指定し、相手から提出された資料に目を通すという形式だけのもの。


昔からそうであったことは業界の誰もが知っているが、昨年来の偽装問題が頻発している中にあってもなお、それが維持されていたというのは、まさに
役人の税金ドロボーぶり
を物語っている。

どんなにニセ資料を提出されても、販売先をしっかり追跡すれば簡単に判明することである。

それにしても5年間に96回ということは1年に19回行われていたことになり、異常に多い。
農水省の役人が三笠フーズから飲食接待を受けていたのも明らかになった。
検査と称して、何をしに行っていたのか。


食用に適さない事故米は、焼酎、菓子メーカーだけでなく、病院、養護施設、保育園などの給食としても使用されていました。

三笠フーズの冬木社長は、
10年前ごろから別会社を買い取ってから始めた」と語り、事故米を扱うようになった経緯は「前所長から、”10数年やって方法を熟知している”と言われ、儲かるならと思って始めた」という趣旨を語った。

事故米の相場は1キロ5〜6円。三笠フーズは「あるだけ買いたい」とし、相場を大きく上回る¥9〜14で買っていた。
輸送費が1キロ¥30だから、米代はタダ同然。

この食用への転用は、三笠フーズだけではなく、それを含む大手3社すべてが行っていたことも判明。

ありていに言うと、
業界ぐるみでどの会社もやっていた
ということ。
製紙業界のエコ偽装みたいなもの。

伝統的に、まじめにやっては生きられない業界であり、まじめな新規参入もはばまれる世界であったということ。


それにしても僕が不思議に思うのが、日本でこのような事件が次々と明るみになっていながら、なお日本人を倫理的であると思い込んでいる人が多いということ。
それは多くの商品の国産信仰に如実に表れている。

他国の不祥事はいつまでも覚えているが、日本人の不祥事はすぐに忘れるらしい。

他国への批判は”目くそ鼻くそ”のレベルのものがあまりに多い。


自国のことをひいき目に見る気持ちもわからないでもないが、あまりに度が過ぎると、足元の大きな不正やリスクを見逃す。

まずは、日本人、日本社会そのものを見直し、徹底した取り締まりと不正への厳罰化を行わない限り、国民に負担とリスクを負わせ、
”濡れ手に粟”のボロ儲けで高笑いしている業者を存続、後押しする結果となる。

















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2008年08月29日

ウナギ産地偽装・今度は愛媛



また、ウナギの産地偽装が発覚しました。

概要は、愛媛の「サンライズフーズ」が産地不明の蒲焼に「愛媛県産」と表示して販売したこと。

さらに、「国産」と表示した蒲焼も農水省は、中国産蒲焼を社内で詰め替えた可能性が高いと見て調べているとのこと。

「サンライズフーズ」の蒲焼の多くは、築地市場最大手の「中央魚類」に出荷され、スーパーなどで販売されていました。

読売新聞によると、
「サンライズフーズ」から仕入れた蒲焼の量は、「中央魚類」が扱う蒲焼の7割を占め、昨年度の築地市場で扱われた全蒲焼(3320トン)の約2割(約645トン)に相当する量だったとのこと。

以下、読売新聞よりそのまま引用

サンライズ社の工場に勤める従業員は読売新聞の取材に、「生きたウナギはほとんど見ない。蒲焼が乗ったトレイの包装をはがし、別のトレイに乗せてラッピングし直している」と証言。取引業者も「サンライズ社の工場でみるのは”中国産”と書かれた段ボール箱ばかり」と話す。

====引用終わり

僕から言わせると、「ようやく本丸にたどりついたか」といったところ。

もうすでに5〜6年ほど前から、怪しいということは業界の常識でした。


なぜなら、常にありえないような安い値段で製品が出続けていたから。
さらに、出荷量に見合うほどの大量の活鰻が購入されている形跡がないこと、実際に活鰻をさばいて生産している形跡にとぼしいことなど、あらゆる条件が偽装を裏付けていました。

ちなみに、5〜6年前には福建省のうなぎ工場の蒲焼製品が数百トン単位で、松山揚げされていました。
通常は関西の場合、消費地である大阪に荷揚げされるものなので、これは極めてイレギュラー。
その荷物がどこに行ったかも調べる必要があります。

その中国の工場の社長は”特需”にのっかりご満悦でした!


「サンライズフーズ」には4年ほど前には行政検査が入ったのですが、その時は何も出ずじまい。
このとき、行政の業者との癒着や「ナーナー検査」を疑ったものです。

そのような経緯を考えると、よくこれだけ長年、放置されていたものだと思います。
もう昔の証拠などは残っていないでしょう。


そして主要取扱い業者の中央魚類。
築地最大手で東証2部上場企業。

業界の誰が見ても、誰が判断しても、偽装の疑いが濃厚だった製品
を販売し続け、大量に扱い、多額の利益を上げていた。(に違いありません)

それを「知らなかった」「だまされた」で通すのは無理があります。

もしかすると、「知っていた」とする物的証拠は出ないかもしれませんが、それで逃げおおせてヤリドクを許すようであれば、永遠に食品偽装に歯止めなどかけられないでしょう。

昨年から食品偽装が社会問題化し、ウナギの偽装も次々と摘発を受ける中、今の今まで公然と販売していた中央魚類の罪は非常に重く、サンライズフースに匹敵します。

さらに、明らかに安い、怪しい”国産”を仕入販売していたスーパーも大問題
表面とは裏腹に、儲かるものなら何でもやる、責任さえ回避できればOKといった体質を表しています。
ここ数年「安い国産ない?」が合言葉のようでした。

特に国産のメインをこの製品でまわしていたスーパーは大きな責任を免れません。


そして消費者。
中国産を避け、「国産」の中から最も安いものを選んで買った人も多いことでしょう。
この手のものがよく売れるんです!
国産の中では安いといっても中国産の2倍ぐらいはしていました。

それがかなりの高い確率で、原料が中国産、もしくは中国産蒲焼の詰め替えであることがはっきりしてきました。

怒るべきことなのは当然です。

”安いだけの中国産”に「騙されまい」と気を配って買った結果、高い値段を払って中国産を食べていたことになるわけですから。


ウナギの産地偽装は非常に裾野が広いため、なかなかこれで終わり、ということにはなりません。
「魚秀」の問題も未だに関係会社(被害者を含め)を事細かに捜査中。


「迅速に」そして「モレなく」調べ、腐りきった業界のウミを早く出してもらいたいものです。



posted by うな太郎 at 21:49| Comment(1) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月18日

イオンが漁協と直接取引



スーパーのイオンが島根県の「漁業協同組合JFしまね」と直接取引を開始しました。

16日にイオン専用の定置網で水揚げされた約2.7トンが販売され、17日に大阪、京都、愛知などの約60店舗で販売されたという。

メディアはあたかもいいことずくめのような論調で取り扱っているが、これは大きな誤解です。

そもそも、生産者から末端の販売者(スーパー)の直接取り引きに大きなメリットがあるなら、とうの昔にやっています。

今まであまりやっていなかったのは、デメリットのほうが大きかったから。

最も大きな問題は、
生産者の売りたい条件とスーパーの買いたい条件が見合わないこと。

スーパーは、大きさなどの規格があうものには相応の値段を払うが、そうでないものは二束三文の値段しか払わない。

今回、その問題が解決されているとは思えない。



そして大きな誤解は、多くの人が中間マージンが発生するのはムダだと思っていること。

生産者とスーパーの間に入っている中間業者はいわば交通整理の役目を担っている。
つまり、ある業者には価値が低くても、ある業者は高くても買いたいという場合があるわけで、多くの品種、多くのサイズを、最適なお客さんに販売する業務を行っている。
その中には配送業務も含まれる。

さらに重要な役割は、品質、価格、マーケット、販売アイデアなどの情報

それぞれの商品の専門知識の中には、生産者が知らないこともあれば、知っていてもきめ細かな情報提供までできない場合がほとんどだ。

つまり、中間業者というのは、そういった一定の「役割」を担っているから、その報酬としてマージンが発生している

逆に言うと、「役割」を果たさない中間業者は「不要」ということで淘汰される。


日本の水産業界は外国とは大きく異なっています。

全国各地から多種多様の水産物の供給があり、それを全国各地の多様な消費形態の中で販売されていく。

末端業者すべてが生産者と直取引などできるはずがない。

両者ともノーサンキューだ。

それに対応するために、全国に魚市場が設けられ、それでも対応できない部分を問屋が行っている。


もちろん、流通の中で、魚市場や問屋を介さないものが増えてきているのは事実だが、中間マージンが発生するのが悪のように語られるのは現実を知らなすぎる。


そしてもう一つの誤解は、
「中間業者を廃せば、生産者の受取が多くなる」
ということ。

これがウソである理由は二つある。

1)交通整理をしている中間業者を廃したら販売する客は最適な客ではなくなる・・・・客は「欲しいもの」以外は二束三文か、ただでしか引き取らない。

2)客はますます立場が強くなり、生産者はますます立場が弱くなる

特に2)は重要だ。
スーパーはぎりぎりまで利益を上げようとする。
私企業として当然のことだ。
中間業者がいない分の「5〜10%の半分は生産者に払おう」などとはしない。
すべて取りに行く。

いや、それ以上ということも十分あり得る。


「生産者のため」と本当にボランティア的なことをしたら、株主が黙っていないし、一歩間違えば「背任」という犯罪行為になる。

だいたい、値段はすべて毎回決めるものなので、中間マージンの節約分がいくらかなど計るすべもない。

ちなみに大手スーパーの想定原価率は通常55%、粗利益率45%だ。
つまりスーパーの売値が100円ならば、仕入は55円以下が基本で、ほとんどの場合、売値から仕入れられる価格を割り出してくる。


話を元に戻します。

今回のイオンの取引が始まった背景には、ますます流通の寡占化が進んでいることがあげられます。

流通の中で、もはやスーパーは絶対的な力を持ち、特にイオンの存在は絶大。

その中で、価格決定はイオン主導になることは間違いのないこと。

「売れにくい魚」に対して、どのような評価、どのような値段を付けてくるかによって、この取引の成否が左右されることでしょうが、少なくとも生産者が期待するような取引になるとは思えません。

品質や表示に対する生産者への要求も、より厳格になることでしょう。


一方イオンにとっては、
「漁業者の苦境」「資源の無駄使い」などが多く取り上げられる中、今回の取引の宣伝効果が高く、イメージアップにつながり、良い結果を生んでいると思います。


また、消費者にとって唯一良いことは、普段見掛けない魚種が店頭に並ぶこと。
「知ってる魚」「見たことがある魚」しか食べなくなった日本人にとって、知らない魚でもおいしいものがたくさんあることを知ることになり食育にも良いことでしょう。

より鮮度が良いとか、ムダがなくなる、ということはあまり関係ないでしょう。


ただ繰り返しになりますが、憂慮すべきは、ますます進む流通の寡占化、そして、そのような食の現実を伝えないメディアです。


posted by うな太郎 at 11:02| Comment(1) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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