2008年06月25日

魚秀と神港魚類の偽装



毎年、6〜7月のいよいよ鰻本番!という時期になると、ウナギ業界には問題が発生しています。

今年も本日、大ニュースがテレビ、新聞、ネットを駆け巡りました。

魚秀と神港魚類によるウナギの産地偽装。


内容は、魚秀が中国産のウナギのかば焼きを国産として建て替え、神港魚類に販売し、神港魚類は偽装を認識していながら、国産として販売していたというもの。

昨年来、ウナギの産地偽装では9件の摘発がありましたが、いずれも活鰻偽装。
この場合は価格にすると15%ぐらいの違い。

しかし今回の蒲焼き偽装は、
中国産蒲焼きを国産の箱に詰め替えたもの。

値段は、通常3〜4倍。

ただし、今回は国産としては信じられないぐらい安い(明らかにおかしい)値段だったので、
2倍

それでもボロ儲け。

こういう明らかに不自然な”国産”をスーパー含め、みんなが欲しがりよく売れるのが、現在のウナギ業界。


さらに多くの会社がかかわっていることでしょう。


被害者は国産を安全と思って高い値段を払った消費者。
さらに、”安い国産”がたくさん販売されたことにより、まじめな国産業者の販売の足を引っ張り、間接的には中国産販売業者をも苦境に陥れました。


魚秀、神港魚類とも担当者は昔からよく知っているので、残念でなりません。

『食品の迷信』でも指摘しましたが、”箱の詰め替え”は昨年までは確実に行われていたのは関係者ならみんな知っていました。

しかし、今年に入ってから、しかも架空会社を使ってまで行うという手口には、正直驚きました。

とにかく何かが狂ってしまったとしかいいようがありません。

魚秀が、偽装を行った理由として「中国産ギョーザの問題以降、中国産は売れ行きが不振で、数億円分の在庫を抱えていた」ということでしたが、中国産食品を扱う業者ならどこも風評被害で苦しいのは同じ。

”被害者”が転じて”加害者”になってしまう典型例
でした。

彼らはやってしまった以上、すべてを白状して、罪を償なってもらうしかありません。


過去のまだ発覚していない不正もしっかり洗い出して、
「捕まるのが不運」などということがないようにしてほしいものです。

posted by うな太郎 at 21:31| Comment(10) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月19日

新たな鰻の産地偽装



今週17日に、新たなうなぎの産地偽装が発覚しました。
今回は、名産地の漁協自らが関わっていたということで、今までの同様の事件の中では業界や消費者に与える衝撃が最も大きいと思われます。


「asahi.com」から引用します。

養殖ウナギの生産量日本一の愛知県一色町にある一色うなぎ漁業共同組合が、台湾から輸入されたウナギを「国産または一色産」として販売していたことが農林水産省の調べでわかった。
少なくとも今年1月から4月にかけて計70トンにのぼるとみられる。愛知県は17日、JAS法に基づき、同漁協に改善を指導した。


偽装は、いわゆる「里帰りウナギ」を悪用したもの。


例えば、最終養殖地が台湾でもトータルで日本での養殖期間が長ければ、「国産」と表示してよいことになっている。

今回のケースでは、農水省が追跡したところ、日本から18万匹輸出したとされる幼魚(クロコ)が台湾の池に入ったことが確認できなかった。さらに、台湾から輸入されたウナギは匹数が26万匹に増えており、
農水省はほとんど台湾産だったとみている
とのこと。

一色漁協の言い分としては、
「産地証明書の誤りに気づかず」
ということだが、このご時世にその言い訳は通用しないでしょう。

匹数は減ることはあっても増えるはずがありません。

ましてや、同漁協は知名度を高めるために、「愛知三河 一色産うなぎ」の地域ブランドの認証マークまで作って、彼らはマークを管理する普及協議会の事務局となっていたとのこと。

その認証マークは、
稚魚から成鰻まで自ら生育したウナギを使用している旨を保証するブランド
だったというのだからあきれたものです。


当ブログでも、何度か指摘していましたが、「里帰りウナギ」は怪しすぎました!
法律通りに行っているのなら、誰も文句を言えません。
しかし、例えば90日間、日本で養殖して、それを台湾に輸出して、しっかり数えて89日までに池揚げしている業者がいるとは到底信じることはできません。

今回は、「漁協」が輸出自体を行っていなかった可能性が強いということなので、余計それが裏付けられます。


農水省の今回の動きは非常に早く、「経由したすべての養殖地」の表示を行うよう広く通達を出しました。



アサリはどうなのでしょうか?
ブリやシマアジは?


もう「生育期間の長い国を産地とする」ということ自体やめるしかありません。
すべての生育地を記載するなどとはめんどうなことですが、不正ばかりが横行する現状では、いたしかたないでしょう。

posted by うな太郎 at 22:41| Comment(10) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月14日

日本の農業の実態



日本の農業の実態を数字で示します。

なるべく新しいデータを採用する観点から、
統計年度の違いを一緒に計算するなどしているところもあるが、
あくまで全体像をつかむものとして考えてほしい。

1)関税


●単純平均関税率
日本・・・・・・12%
アメリカ・・・・・6%
EU・・・・・・・20%


●農業関税率
日本・・・・・・50%
アメリカ・・・・12%
EU・・・・・・・30%

*日本は、米や落花生、こんにゃくなど関税500%以上、バター、砂糖、大麦、小麦など200%以上の品目がある。
これら、禁止的に高い税率であれば、輸入されないので輸入額で計算した平均関税率は低くなる。
だから、実態は上記の「農業関税率」に近いと思われる。
特に米の800%近い関税が「農業関税率」を押し上げている。
OECDの推計では日本の国境保護は国際価格の1.592倍。
つまり関税が0になれば、輸入品の価格は現在の約60%になる計算。


2)農業補助金総額

(農業生産額に対する割合)
日本・・・・・・59%
アメリカ・・・・17.6%
EU・・・・・・・36.5%


3)1ヘクタールあたりの補助金

日本・・・・・・9709ドル
アメリカ・・・・・117ドル
EU・・・・・・・・676ドル


4)農業補助金


補助金予算5.5兆円
(補助金;2.7兆円、価格維持;2.8兆円)


5)日本の農業総生産
・・・・・・4.9兆円(ピーク時は7.9兆円)


6)「農業を守る」ための負担


5.5兆円(補助金)+2兆円(輸入関税による輸入品価格への転嫁)=7.5兆円
この額は国民一人当たり平均6万円。
1世帯当たり16万円。
これにより全人口の4%(世帯数比率)の農家を支えている。


その他)


国内総生産額512兆円に対して農業総生産は4.9兆円と1%に満たない。
一方、労働人口からみると、総就業人口6151万人に対して312万人と約5%。

耕地面積465万haなので、農業労働者一人当たり、1.5haの耕地を利用して、年間157万円の農業生産を行っている。
農業補助金を除くと、実質生産額は50-100万。
価格維持費などを除くと、マイナス。



日本は世界的に見て、コスト的にいえば農業に不向きなのは明らか。

*平地が少なく、大規模農法に向かない
*機械、ガソリン、農薬・肥料、物流コストなどの値段が高い
*高温多湿で、病虫害がつきやすい
*収穫期に台風や大水などが起こりやすい
*従事者の高齢化

農業に向いている点として下記があげられるが、デメリットと比べると非常に小さい

*種苗技術が発達している
*雨が多い
*勤勉

だから、「ヨーロッパ各国が30年前から自給率向上に取り組み、成功させたから日本も見習え」などと言われるが、その事例と日本を同様に考えることはできない。

日本の農業は
莫大な補助金を出しながらも、いや出したからともいえるが、衰退してしまった。
補助金予算ばかりが増え、生産額が減っている実態もある。

経済合理性だけで判断できないのは当然だが、
かといって今までのやり方で、農業を守り、伸ばしていく施策が良いはずはない。



posted by うな太郎 at 17:09| Comment(3) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月11日

メディアの惨状



拙著「食品の迷信」の編集の中で、残念ながら原文から削除された文章が下記の3つほどありました。

1)アメリカ産牛肉は危険ではない
2)農薬、添加物、ダイオキシンなどで蓄積された被害は何も確認されていない
3)メディアの多くは我田引水報道か、タレ流し体質


今回は3)に関連する事について説明します。

メディア報道というのは、特に食品に関していえば、そのほとんどが、事実や科学に基づかないもの。

一番多いのが、「危険」を前提にそれに見合う情報を無理やり集めてきて、逆の情報は捨てて流すもの。
次に多いのは、単なるタレ流し。

「食品の迷信」の中でもその例をたくさん挙げました。


さて、現在目に余るのが、食糧自給率報道。

まさに現在進行形なので、その態様の変化がよくわかり、良いサンプルになります。

まず、僕が知る限り日本の食糧自給率向上への反論はもちろん、冷静な分析を行う報道すらほとんど皆無だ。

反論したら「国家反逆罪」で捕まる国のようだ。

特に、穀物の値上がり、世界的食糧不足、干ばつ・異常気象・地球温暖化・・・などの報道の後には、お約束のように、
「日本は食糧自給率を上げる必要に迫られている」とくる。

昨日の「ガイアの夜明け」でもそうだった。
食糧価格高騰をテーマにした番組の最後の締めの解説は、
「食糧自給率改善に向けて、もう待ったなしの状況なのかもしれません」

「食糧自給率改善」???
「待ったなし」???

言葉がどんどん、
「自給率向上を目指すのが当たり前」
「異論をはさむなんて変人」

という方向に向いている。

その是非の議論は終了して、すでに具体策へ移行しようとしている。

これらの報道は、自給率を向上させるべき理由の正確な検証が全くなされていない。

間違った前提のうえで、議論を始めている。
さらに、自給率を向上させることによるメリットとデメリットの検証や報道もない。

もちろん、そこから導きだされる結論も、デタラメ。


「農薬危険」「添加物危険」「中国食品危険」「国産安全」
これらすべても同様の流れだったように思う。

これがメディアの惨状だ。


だれも反論しないので、僕がやります。
以前も取り上げましたが、ここではわかりやすく簡潔にします。

自給率向上はあくまで、個人の選択の中で行うだけなら結構。
自給率低下の主な原因は、食生活が洋風化して、畜肉や油脂類の消費が増え、米を中心とした日本食の消費が減ったこと。

「健康に良い日本食に戻そう!」という運動なら良いと思う。

しかし、現実的には洋食化が進んでいる中にあって、せいぜいその傾向を食い止めるのが精一杯のところではないだろうか。

だから、国内で生産量を増やした場合、消費が増えない以上、価格が下がる。
それでは農家はやっていけないということで、政府は農家に補助金を出すという展開が待っている。

つまり自給率向上のために、国民の税金が使われるのだ。


そして、税金だけではすべてを賄えないから、輸入作物への規制を行って、食品を高いものにする。

低所得者層には直撃だ。
生活破たん者も増える。


そもそも食糧自給率向上のための大義、「食糧安保のため」というのはウソだ。

国産が決して安全なわけではないし、外的要因で食糧供給が不安定になるのではなく、むしろ内的要因のほうが不安定だ。


狭い日本の国土の自給率を高めると、天変地異の影響を受けやすい。
1993年には自給率100%の米が不作でパニックになった。
自給率の高い、レタスやキャベツも天候の影響ですぐに5倍などになってしまう。

また「もうお金さえ払えば、外国から食糧を買えるという時代は終わり」という話も聞こえる。

終わりなはずはない。

日本はいわば世界でも有数の金持ち国家だ。

日本人の経済力でも食糧が買えない世界というのはあり得ない
といっていい。
その時は、世界のほとんどの人が飢えるときだ。


簡単にいえば、政治家、官僚のターゲットは国民の税金だ。
エコも地球温暖化も同じ。

庶民の暮らしが楽にならない中で、無用な食品価格の高騰と、競争力のない農業へのこれ以上の税金投入は、やめるべきだ。


そういうこともわからずに、横並び報道に加えて、表現をエスカレートさせていくメディアはヒドイ。
























posted by うな太郎 at 10:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月06日

河野太郎衆議院議員



食品の話題ばかり取り扱っているブログなのに、今回の題名は「ナニ?」と思われたのではないでしょうか。

つかみは成功したことでしょう(笑)

河野太郎議員は、河野洋平衆議院議長の息子さんで、平塚を中心とした湘南地区を地盤としています。

先日、茅ヶ崎のイトーヨーカドー前で、たった一人で、左手に「河野太郎」ののぼりをかかげ、右手に拡声器を持って、演説をしていました。
歩道の端の地面の上です。

演説の内容は、狂牛病検査や年金制度に関して。
いかに税金のムダ使いをなくして、バランスのとれた社会にするかという、至極納得のいくものでした。

演説が終わると、一人でのぼりをたたみ、歩いて帰っていきました。

市会議員ですら、選挙の時以外で、政策を訴えたり、消費者を啓蒙することなどほとんどないのに、この国会議員の姿勢にはある種の感動を覚えました。



今年に入ってから、道路特定財源の一般化財源化が取りざたされていますが、河野議員はすでに2年前に、一般化財源化を主張され、委員会の採決の結果、1対24で敗れたそうです。
もちろん1が河野議員。

かなりの変人です(笑)

だからファンです!!!



その河野議員が
「意味のない狂牛病検査はやめよう!」と主張されています。

僕も大賛成です。

理路整然とした中にも熱いメッセージが語られる、素晴らしい演説ビデオです。
僕の文章を読むよりはるかに勉強になるので、ぜひご覧になってください。


河野議員動画「フグと牛」






posted by うな太郎 at 20:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月01日

ウナギ偽装新たな展開



輸入ウナギを国産と偽って販売していたとして、
食品商社「東海澱粉」の社員二人が逮捕されました。

長期にわたり行われ、手口が悪質だったとはいえ、「逮捕」というのは少し驚きです。

今まで、水産物偽装では摘発されても、実質無罪放免状態でした。

しかし、先月には、タイ産チリメンジャコを淡路産として販売したとして、水産卸の社員が逮捕されたのに続き、今回の処置。

本ブログで再三再四、厳しい処罰を求めていたことからすると、JAS法ではなく不正競争防止法を適用した厳罰の流れは喜ぶべきことと思います。


ただしかし、あえて言わせていただくと、逮捕された両事件とも、
ただの社員が行ったもので、個人的な犯罪として処理されるのは、いささか違和感を感じます。

なぜなら、偽装によって儲けたお金はほとんど会社に入るもので、彼らの懐を潤すのはごくわずか。
どちらかというと「会社のため」としてやったもの。

会社オーナーが行ったののとはかなり性質が違います。

誤解を恐れずに言うと、上司から引き継いだ業務である可能性もある。
だからしょうがないと言っているのではなく、悪質度の比較をしているだけですが。。。

こういった会社社会の現状から考えると、偽装によって儲けたお金を、会社に罰金として請求するシステムなどが必要なのではと思います。

偽装によって最も儲けた会社が無罪、社員だけが有罪ということが通るのであれば、会社が社員に巧妙にけしかけておきながら、後は知らんぷり、が通ってしまうということ。


いずれにしても、
「会社のため」
「今までは大丈夫だったから」
などといったことはこれから通じず、
例え業務命令でも、違法なことは断る勇気を持たないと、犯罪者となりうるということ。
そして会社は被害者面をして、多分、社員は懲戒解雇。

クワバラクワバラ。


ウナギの事件をもう一つ。

仙台のホテル内にはあるレストランで、台湾産ウナギ(白焼き)を使用しているのに、静岡浜名湖産と表示していたとレストラン自らが発表した。

自らがゲロを吐いた、非常に珍しいケースだ。

ただ、説明によると偽装をしたのではなく、知らないまま(浜名湖産と思いこんだまま)間違って表記したとのこと。

ただ、この「間違い表記」は2005年10月から行われていたとされており、本当に間違えていたかどうかは極めて怪しいと言わざるを得ないだろう。


法的厳罰の流れと、世間の厳しい制裁を考えると、今回のように今後は「自首」するケースが増えてくることだろう。

posted by うな太郎 at 14:10| Comment(5) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月25日

食糧自給率向上のウソ



政府も野党もこぞって日本の食糧自給率向上を目指している。

メディアもその流れにのって、日本は食糧自給率を上げなくてはならない国という前提に立ち、「どう具体的に行うか」を報道している。
いわば金太郎あめ状態。


今時日本で行われる政策は、
万人にとって有益というような夢のような施策などない
はず。

食糧自給率を向上した場合にも、メリットを受ける人とデメリットが大きい人が存在するにも関わらず、
メリットばかりが誇張又はねつ造され、デメリット部分が無視
されている。

つまり食糧自給率向上に向けた動きの最も大きな問題は、
国民が大量のウソ情報によって催眠状態となって、コントロールされている
ところだ。

現実の真実を知らされた後で、国民自らが自由意思で判断するのであれば、何も異論はない。


食糧自給率を向上させなくてはならない理由として政府が挙げているのは、はだいたい以下のようなものだ。

1)食品の安全のため
2)戦争、天災などの有事のため
3)世界的食糧不足のため
4)日本の文化を守るため



では反論。

1)は国産食品が安全とういう考え方に基づいているが、これ自体が
迷信である。
そのようなデータは少なくとも僕が知る限り存在しない。
むしろアメリカの輸入通関で、国産食品のほうが中国産食品より
違反率が高いという信頼性の高いデータがある。それから判断するとむしろ食品のリスクが高まるということ。
つまり
1)の理由は国民の錯覚に基づいたものでしかなく、デタラメ
と言ってよい。

2)について。
今時、戦争によって日本が世界から孤立して食糧が輸入できなくなるなどとは考えられない。
孤立する可能性が極めて低いうえに、仮にそうなったとしても、莫大な食糧のお客さんである日本に売らないということは、輸出国にとって大打撃になるためあり得ないと言っていい。
天災にしても、日本に入ってこないほどの世界的天災など想定できないし、
自給率を向上させ狭い日本で生産されたほうが、天災によるリスクが高まる
ぐらいである。

3)について。
国のボーダレス経済が広がる中にあって、
食糧も基本的に高く買う方向に流れる。

最近、一部の国に輸出規制の動きがあるが、それは国内価格と輸出価格に大きな違いがない場合だけ。
日本の食糧輸入量の上位3カ国はアメリカ、中国、オーストラリア。
これらの国は食料輸出が巨大産業であり、高く売れる日本に輸出しなくなるということは、とても想定できることではない。

4)について。
具体的には、日本の食文化を守ろう、日本の稲作などの栽培技術や景観を守ろうということ。

確かに、文化というのは、一度消えてしまうと、復活させるのは困難なので、絶やしてはいけないという面では賛成できる。
ただし、既に日本の稲作を守るためには莫大な税金が投入されていることも忘れてはいけない。

農家に補助金を与え、米には700%もの関税をかけ、外国から安い米が入ってこないようにしている。


おかげで、食卓にのぼる米の自給率はほぼ100%。


食糧自給率39%しかないと言われるが、それでも農家に対して莫大なお金が使われているから、まだこれだけの自給率があるのである。


話をまとめると、食糧自給率向上によるメリットは2)と3)が可能性が0とはいえないという程度の可能性があることと、4)だけ
といえよう。

しかし実は、農家がいい思いをするというのが最大のメリット(農家にとって)だ。

そして政治家は与野党問わず組織的な農民票が欲しい。
官僚も権限を拡大できるからメリットは大きい。

つまり農家、政治家、官僚にとっては確かにメリットがある。


これに対して
デメリットは言うまでもなく、食品の値段が高くなること。

国際的な食糧価格の急騰で、日本で作る場合との値差は縮まってはいるが、それでも平均的にいうと通常で2倍。米は4〜5倍。

もう一つのデメリットは天災の影響が受けやすくなること。


日本で食糧パニックが起こったのは1993年。
全国的な冷夏を原因として、皮肉にも
食糧自給率100%の米で起こった
ことを忘れてはならない。


このような実態を知ってから何を選択するかはあなた次第である。


メディアはほとんど横ならびではあるが、例外もある。
テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」では違う世界観がある。

先週、食糧自給率向上問題を取り上げ、小谷真生子キャスターが
解説者に「今後高くなる外国のものを買うのがいいのか、国内で自給したほうが安いのか、どちらなのでしょう?」と聞いた。
解説の五十嵐氏は「おそらく、外国から買った方が安いでしょう」

思わず心の中で、拍手を贈っていました。

考えてみれば、当たり前のことだが、その当たり前の報道が少ないのが深刻な催眠状態に陥る要因でしょう。








posted by うな太郎 at 20:13| Comment(3) | TrackBack(2) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月18日

”前提条件”の疑わしさ



日本で”常識”と思われていることが、実は非常に疑わしいことが多い。
ウソといってもいい。
以下の項目に関しては『食品の迷信』に書きました。

*中国産食品が危険
*国産が安全でおいしい
*天然が安全でおいしい
*農薬を使った作物は危険で有機が安全
*添加物入り食品が危険で無添加が安全


内閣府の調査によると、食品安全に関する情報の入手先として圧倒的に多いのがマスコミ(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)で、その割合は90.5%とのこと。

これは横並び体質のマスコミが一斉に間違った情報を流せば、それを信じてしまう人が多いということ。

情報統制されているどこかの国を特別視できない現状がここにあります。


ウソの情報を真実として信じてしまう怖さは、それを絶対的前提条件として議論し、対応を考え、結論を導き、行動までしてしまうことです。

食品の話から少しずれますが、地球温暖化問題

「二酸化炭素の濃度が高まることによって、地球温暖化が止まらないので、その排出量を減らさなくてはならない。」


これがすでに絶対的前提条件になり、もうその対策のためにどうすればいいかを真剣に議論している。

しかし、実際には地球温暖化と二酸化炭素の関係自体まだ研究中で、少なくとも「科学的知見」までいっていない。

それどころか、地球温暖化自体も疑わしいという科学者もまだ大勢します。

それなのにすでに、待ったなしの対策を打ち始めている理由は、
「その恐れがある以上、はっきりわかる前でも対策をとっておこう」ということ。

つまり前提条件自体が仮定のうえに立ったものということができる。
前提条件が絶対的なものか仮定なのかを抑えておくことは、極めて重要です。
なぜなら、それによって最終的な対応、対策が大きく変わってくるからです。

僕はこの種の危険を煽る情報は疑わしいと思っていましたが、案の定最近になって、反論の本が次々と出るようになりました。
「不都合な真実」のゴア氏が、自分にとって不都合な真実を無視しているやの批判も多くなっています。

20年前まで「地球が寒冷化している」と警鐘を鳴らした人間が、現在では、「温暖化している」と警鐘を鳴らしている
とも言われます。

しかし日本では”仮定”が”絶対的真実”にすり替わり、二酸化炭素削減に向けて世界を主導し、自ら莫大な負担を課そうとしています。


マスコミ情報を鵜のみにして、二酸化炭素削減のためにお金を使ったり、不自由な生活をする前に、自分で調べて考えてみてはいかがでしょうか。



話を食品に戻します。

食糧自給率。


「日本は食料自給率を上げるべき」というのはもはや日本人の常識と化し、それを絶対的前提として具体的議論に入ろうとしています。

自民党はもちろん、何でも反対の民主党も同じ方針。
共産党も賛成なので、多分日本の政党すべてが同じ考えなのでしょう。

つまり日本の政治家全員が、食糧自給率向上を目指しているという、民主主義の中にあってかなり気持ちの悪い状況です。

マスコミも横並び。

この問題も、情報を鵜のみにしないで、自分で調べて考えてみることをお勧めします。


次回は「食糧自給率向上のウソ」を書きますので、それも参考にしてもらえればと思います。




posted by うな太郎 at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月13日

遺伝子組換え作物〜意見編〜



前々回の「遺伝子組換え作物〜事実編〜」の続編で、今回は僕の意見を述べます。

世の中に出回っている多くの議論は、それぞれのメリットとデメリットを挙げることなく、一方的見方になっていることが多いものです。

批判する場合は悪いところだけを挙げ、推薦する場合は良いところだけを語るので、一見どちらも正しいように思えてしまいます。


前提条件の精査もしないで、その後の議論を始めるのは非常に危険です。
「食品の安全」問題ではそういったことばかりが行われています。

遺伝子組換えのメリットとデメリットを挙げます。

メリット;
1)収穫量が上がる
2)殺虫剤や除草剤などの農薬が少なくて済む
3)栄養価が高いとかアレルギーのない作物、病気に効くなどの有用な作物ができる可能性が高い


デメリット;
1)作物危険である可能性がある
2)環境への悪影響がある可能性がある
3)花粉を通じて周りの畑の作物が遺伝子組換えになる
4)生命の遺伝子を操作するという倫理上の問題点
5)神を冒涜する行為と判断する宗教上の問題点
6)アメリカに作物の覇権を握られる



僕は一言でいうと賛成派です。

上記を見るとメリットが少ないようですが、実際には、
人類を救える可能性があるほど強いメリット
があるといえます。

現在の人類が、いや日本人に置き換えてもいいですが、十分に満ち足りて、将来的にも安泰であるなら、遺伝子組換えは必要ないともいえるでしょう。

しかし、食糧不足が心配される中、自給率39%の日本がこのまま何もしないでいいはずはありません。

遺伝子組換えによって、収穫量が劇的に上がって、しかも農薬や除草剤が少なくて済むのであればこれほどのプラスはありません。

また、技術が進めばアレルギーを起こさない作物や栄養価の高い作物、暑さや干ばつに強いものなど、あらゆる可能性があります。

無農薬栽培は夢の作物とは程遠いですが、遺伝子組換えはその可能性をはらんでいるといえます。
いや事実、すでに世界中で実績を上げ、結果として表れているともいえるでしょう。

考えるべきは、これだけの大きなメリットを上回るだけのデメリットがあるかどうかです。


1)と2)はすでにほとんど問題ないことが確認されています。

仮に、今後何らかの問題が起こるとしても、「怖れ」だけでやめる理由にはならないでしょう。
反対派は100年先はわからないといった「わからない」=「危険」
という考え方を持っています。
では、100年後に、今遺伝子組換えを禁止したことによって人類が飢える可能性と、遺伝子組換えによって不測の事態になる可能性、どちらが高いかといえば、前者なはずです。


3)は、確かに完全におさえることはできないでしょう。
しかし、これを恐れるのは遺伝子組換えを危険と考えるからであり、
安全であるのが科学的常識になった以上、懸念はあるとしても反対する強い理由にはなりません。

4)と5)はそれぞれの考え方なので、他人がどうすることもできません。
ただ、遺伝子組換えというのは、新しい品種を作ってきた今までの作物改良の歴史と大きく変わるものではありません。

現在私たちが食べている食べ物のほとんどすべてが、人間が人間に都合がいいように新たに作った品種(生命)です。

新品種を作ること自体が、生命をいじるものであり、遺伝子を変えるものです。

その方法が交配や細胞融合などによるものか、遺伝子組換えによるものかだけの違いで、人々の反応が大きく違うのは、倫理感というより感情やイメージによるものと思います。
既に遺伝子に紫外線や圧力を与える手法による開発もとっくに行われてもいます。

反対派は遺伝子組換え野菜をフランケン野菜と呼びます。

実際には交配という手段で、どんな突然変異作物ができるかわからないのに比べ、遺伝子組換えのほうがピンポントで制御できるので、安全という見方もあります。

5)もメリットを覆すだけの理由には程遠いと思います。
最初のうちはしょうがないとしても、日本が本格的研究に取り組むことによって、いずれ世界の先頭を走るのを目指すべきです。


遺伝子組換えの普及は最初の情報発信で失敗したと言われています。

最初に農家のメリットだけを謳い、消費者のメリットがわからなかったため、デメリットだけが強調されました。


しかも虫が遺伝子組換え作物を食べて死ぬ映像が世界中に流れ、衝撃映像として、遺伝子組換えが危険な何よりの証拠と捉えられました。

実際には、虫には毒でも人間に無害か低毒なものはいくらでもあり、農薬でも今はそういったものが主流です。
この作物も人間には無害でした。

また、この虫は決してメジャーな虫ではないため、環境への影響もほとんどありませんでした。


日本ではもっと客観的で分かりやすい説明と議論が起こるべきと思います。


「よくわからないけど危険といわれているから反対」
というのが今の日本人の典型的考え方と思います。

報道はデメリットや恐怖を語ったものばかり。
それはいつものこと。

ちょっとでもデメリットが顕在化すると、デメリットばかりが強調され、すべてのメリットが忘れ去られてしまう。

わずかなデメリットを恐れ、技術革新を拒否するのであれば、そこに進歩はないどころか、先には停滞と衰退が待っているだけ。


それが現在の日本ではないでしょうか。

「触らぬ神に祟りなし」とよく言われますが、この場合確かに祟りはないかもしれませんが、生存競争から離脱した者の衰退が待っているように思います。

非遺伝子組換え、国産、無農薬など、値段が高いほうばかりを志向して今後に展望はあるのでしょうか。
別に深い考えがあって判断しているのではなく、感情やムードで判断しているとしか思えません。

経営コンサルタントの大前研一氏は日本人のことを「内向き、下向き、後ろ向き」と表現していますが、まさに言いえて妙です。

どちらを選ぶかはもちろん個人の自由です。
ただ遺伝子組換えを利用する自由を奪うべきではないし、それ以上に国家戦略として考えていく必要があると思います。

もし遺伝子組み換えに反対するのであれば、食糧危機や値段の高騰を抑える代替案を出すべきと思います。
ついでに大豆や小麦アレルギーの人に対してアレルギー反応の起こらない大豆や小麦の開発をあきらめなくてはならない理由も提示してほしいものです。


posted by うな太郎 at 21:47| Comment(4) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月07日

先日の「カンブリア宮殿」



今回は予定を変更して、先日放映された「カンブリア宮殿」の番組内容についてお話します。

村上龍と小池栄子が司会を務めている人気番組なので、知っている方も多いと思います。

ゲストは「宅配大地」という、無農薬や有機野菜を中心とした食品の宅配を行っている会社の社長。

この社長の語り口は誠実そうなのですが、言っている内容は、論理の飛躍と詭弁に満ちたもので驚きました!


まず、前提が
「農薬使用野菜は危険で、無農薬野菜が安全」としています。
このことは多くの人がそう信じており、その前提から始まるパターンは珍しいものではないので、とやかく言うつもりはありません。

ただし、無農薬であることによってリスクが高まる要素があるため、このことは科学的に全く証明されていないことであることだけは、はっきり断言しております。

しかし、その次には「おいしい」が来ていました。。

無農薬でおいしいというのは、つながりません。

例えば、特別おいしい品種だとか、獲れたてを宅配しているとか、
そういう理由ならわかります。

これもほとんど詳しい説明もなく、「おいしい」と語り、
「うちのを食べたらスーパーの野菜は食べれないと言われます」といっていました。

いつのまにか、無農薬で品質管理をしっかりしているから「おいしい」ことになっています。

それも司会者に生野菜を食べさせる念の入れよう。

このような状況で司会者は「おいしい」というに決まっているし、何より実際に宅配に使用されている平均的なものなのか、一番おいしいものなのかもわかりません。

この会社は基本的に週に1回の宅配を行っているので、到着してすぐ食べるか、1週間して食べるかによっても味が違うはずです。


そして、
司会者の
「こういうものはお金持ちしか食べられないということになりませんか。」
の問いに対して、
社長は、
「安い食品を買うことによって、健康が害される、医療費がかかるなどを考えると、トータルではうちの食材が有利」


う〜〜ん、これは「恐怖商法」(恐怖を煽ることによるお金儲け)
従事者によくある論法ですが、よくテレビではっきり言ってくれました。

僕はずっと通常栽培の野菜しか食べてませんし、中国産も抵抗なく食べてきましたが、45歳で健康そのものです。
日本人のほとんどが僕とあまり変わらない食生活を送ってきたはずですが、日本人は世界的長寿で健康な老人が多いですよね。
通常作物を食べたことによって、身近な人が具合悪くなったとか、病院に運ばれたケースもないはずです。
あれば大きなニュースになりますが全くありません。


さらに極めつけ。
「会員の方からは、利用してから食費が1〜2割程度しか上がっていない、という声をいただきます。」
「理由はうちの野菜がおいしいので、スーパーや外食で食べるものがまずく感じられ、そういうところに行かなくなるから。」


これが本当なら魔法の食べ物ですね。

我田引水とはこのことではないでしょうか。

従来の2〜3倍(中国産との比較では3倍以上と思われます)するものを買っていながら、食費があまり変わらないようにするためには、外食の頻度にもよりますが、基本的に量を減らすしかありません。
ほとんど外食をしない(又はごく安いところでしかしない)家庭であれば、量を2分の1から3分の1に減らさなくてはなりません。

もしかして、おいしいから満足度が高くて、少なくても済むのでしょうか(笑)

つまり話の筋道はこうです。


1)無農薬野菜は安全
2)無農薬野菜はおいしい
3)これを食べると健康になり医療費も少なく済む
4)これを食べるとスーパーや外食に行かなくなり、食費はあまり変わらない



厚生労働省は、そのガイドラインで「無農薬野菜」という表示を禁じています。理由は、
「そうでないものより優位性があると誤認される恐れがあるから」です。
つまり厚生労働省は農薬を使用しない作物に何らかの優位性があることを認めていないということです。
だから、減農薬、無農薬とも「特別栽培」と表記しなくてはなりません。

有機栽培の先進国イギリスでは政府機関が
「有機栽培作物が、人体に安全であるとか、栄養的にすぐれているといった科学的証拠はない」と語り、
そうでない作物より優位性があるとの広告を禁じています。


特別栽培(無農薬栽培)といっても使用して良い農薬もあれば、農薬指定を受けていない薬を使ってもよいわけで、その中には安全性の確かめれれていないものもあります。
木酢液はその例です。


つまり、無農薬栽培作物が体に良いというのは単なる思い込みにすぎない可能性が高いわけです。



現在、流通している最も安いもので、十分安全なのに、
人々の思い込みに乗じて「病気になる」かのような恐怖心を煽って
商売につなげていくことが、許されてよいのでしょうか。


今回の場合、前提自体に問題がありますが、さらに一つ一つの結論に無理、矛盾がありました。

特に最後には笑ってしまいました。。


しかし、一般の人はそのことに気づかないどころか、感動すらして納得している人が多いのではないかと思うと、僕がもっと正しい情報を発信していかなくてはならないという責任を感じてきます。



posted by うな太郎 at 22:12| Comment(9) | TrackBack(0) | 食品の安全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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